2024/05/17

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ドラゴンフルーツの色素用いた太陽電池、嘉義大学の研究に海外が注目

2019/03/05
国立嘉義大学電気工学科の江政達教授(左の写真の右)と学生の簡亮語さん(同左)が人工の合成色素の代わりにドラゴンフルーツの色素を使って色素増感太陽電池を作りだすことに成功。研究は国際的な学術誌に取り上げられた。(国立嘉義大学提供、中央社)
国立嘉義大学(台湾中南部・嘉義市)電気工学科の江政達教授は学生の簡亮語さんを指導し、人工の合成色素の代わりにドラゴンフルーツの色素を使って色素増感太陽電池(DSSC)を作り出すことに成功。他の発電システムと違って汚染を発生させない他、コストも安価であることから、このほど研究成果が国際的な学術誌に取り上げられた。
 
江政達教授によると、従来型のシリコン系もしくは薄膜型の太陽電池は防塵のクリーンルームで製造される。製造技術のレベルが高く、その過程も複雑であることから、その製造には特定の製造環境や高価な製造機械が必要だというハードルがある。これに対し、色素増感太陽電池は低コストの製造技術を利用できる。製造過程で求められる技術レベルも低く、さらには真空ではない環境、そして通常の室温下で直接製作し、組み立てればよいのだという。
 
色素増感太陽電池の製造は比較的容易で、色素には人工の合成色素を使うと最も起電効率が良いという。しかし、人工の合成色素には依然として汚染を生み出す問題がある。江教授と簡亮語さんはこの汚染を減らすため、ブルーベリー、ザクロ、クランベリー、ドラゴンフルーツなどから天然の色素を採取して研究を行った。こうした果物が持つ濃いアントシアニジンは人工の合成色素の代替品になるという。
 
2年の研究の末、ドラゴンフルーツを利用して製造した太陽電池の実験結果から、ドラゴンフルーツの色素を導電性ガラスに塗布すると、最も大きな起電力が得られ、それをチップで変換することで高感度の「ドラゴンフルーツ」色素増感太陽電池が出来ることが分かった。研究成果は米国電気電子学会(IEEE)の定期刊行物に掲載された。
 
大学4年生で今年国立中興大学(台湾中部・台中市)電気工学研究所にトップで合格した簡亮語さんは、台湾は原子力発電所の存廃問題に向き合っているなど、電力面でエネルギー危機に直面する可能性が高いと指摘、色素増感太陽電池は他の発電システムと違い、汚染問題が無く低コストであることからドラゴンフルーツの利用を思い立ったと話している。
 
 

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