2024/04/29

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映画の性別意識を判定するアプリが国際的なプロジェクトで完成、台湾の学者も参加

2019/03/18
台湾の学者、陳宜倩さんなどアジア6カ国の女性がドイツのフリードリヒ・エーベルト財団の要請を受け、映画がどのように性別のイメージを伝えているかを認識させるアプリを開発した。(Youtubeより、中央社)
中華民国(台湾)の学者、陳宜倩さんなどアジア6カ国の女性メンバーがドイツのフリードリヒ・エーベルト財団(Friedrich-Ebert-Stiftung)の要請を受け、映画に関するアプリを共同開発した。このアプリ「Mango Meter」は手軽な方式で、映画を見る人たちに流行文化がどのように性別のイメージを伝えているのかを認識させ、考えさせることが目的。
 
「Mango Meter」では、欧米で映画における性別イメージを評価する際に使用される指標を参考にした上で、アジアの視点を出発点に、エスニックグループや階級などの条件下での性別イメージも取り入れて11の質問を設定。使用者はそれぞれの質問に対し、1マンゴーから5マンゴーの採点を行って各国の映画における性別イメージを評定する。採点は加重平均され、それぞれの映画が1マンゴーの「女性蔑視映画」から5マンゴーの「フェミニズム映画」へと分けられる。
 
主流文化を伝える媒体として、映画は往々にして大衆に特定の価値観を植え付ける。「Mango Meter」の開発者たちは、同アプリが使用者に対し、北米と西欧を中心とする世界的な価値観がアジアの社会にどのように影響しているかを深く考える機会を与えられるよう期待している。また、同アプリの民主的な採点プロセスを通じて、ハリウッドやボリウッド(インド映画産業)などの映画産業が生み出す性別に関する価値観も変えたいとしている。
 
「Mango Meter」の採点は一般の人たちに開放されているが、その一方で開発者6名による「マンゴー・レビュー(Mango Review)」も設け、大衆とフェミニズム専門家のそれぞれの見方を対照できるようにしている。「マンゴー・レビュー」の採点者にはこれからも新たな専門家や学者を加えていく。
 
「Mango Meter」の開発を担当したアジアのフェミニズム関係者6名は学術界で働く陳宜倩さんの他、Webマガジンの編集長、社会運動家、大学教師、ライター、音楽クリエイターとその身分は様々。「Mango Meter」は、性別意識が相対的に開放的な台湾ではなく、インドネシアのジャカルタで複数の言語を用いて発表された。陳宜倩さんは、保守的なインドネシアでフェミニズムを推進することには課題が多いが、首都ジャカルタには多くの国際組織が集まっているためフェミニズムの考え方は思ったほど遅れていない他、国際社会とのつながりもかえって台湾より力強いのではと説明している。
 
「Mango Meter」は、フリードリヒ・エーベルト財団が発起した2カ年計画、「Political Feminism for a Better Future(よりよい未来のための政治的フェミニズム)」の成果の一つだが、同計画は今年6月に終了する。陳宜倩さんは、計画終了までにこのアプリ使用者を1人でも多く増やし、十分な会員数を以って引き続き投資者を募っていくことで、その影響力を継続的に発揮させたいとしている。
 
 

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