英カンブリア州ペンリスで15日、世界オリジナルマーマレード大会（正式名称：The World's Original Marmalade Awards & Festival）が開催され、「好食光（Keya Jam）」の創業者である柯亜（Ke Ya）さんが最優秀賞「ダブルゴールド」を台湾人で初めて受賞した。
マーマレードといえば、イギリス人の朝の食卓にとって欠かせない重要なアイテムだ。イギリスの児童文学作品『くまのパディントン』に出てくるパディントンの大好物でもある。世界オリジナルマーマレード大会は2005年から始まったもので、味や香りだけでなく、素材として使う食材が特殊かどうかや料理に合うものかなど、多方面からマーマレードを評価する。今年は40か国・地域以上から3,500アイテムがエントリーした。
柯亜さんは3アイテムを出品し、最優秀賞である「ダブルゴールド」のほか、各部門で金賞2個、銀賞2個、銅賞2個を獲得した。
「ダブルゴールド」を受賞したのは、オレンジの花、キンカン、レモンを使ったマーマレード。台湾北東部・宜蘭県で採れたキンカンをメインにしたマーマレードで、レモンとオレンジの花がキンカンの甘みを引き出している。このマーマレードは、「面白い食材を使用したマーマレード」部門と「魚料理に合うマーマレード」部門の2部門でも金賞を獲得した。
「好食光」の看板メニューであるウイスキーと柑橘系のマーマレードは、柑橘類に台湾産ウイスキー「KAVALAN(カバラン)」を加えて煮込んだもので、「面白い食材を使用したマーマレード」部門で銀賞、「肉料理に合うマーマレード」部門で銀賞、「酒類を使用したマーマレード」部門で銅賞を獲得した。もう一つは、宜蘭産のキンカンにアールグレイの香りと白酒を加えたもので、「魚料理に合うマーマレード」部門で銅賞を獲得した。
柯亜さんによると、柯さんが出品したマーマレードのほか、今年はオランダとシリアから出品されたマーマレードの合計3アイテムが「ダブルゴールド」を受賞したが、非常に貴重な20点満点を叩き出したのは柯さんのマーマレードだけだった。このマーマレードは今後、イギリスにあるマーマレードの老舗「Fortnum& Mason（フォートナム・アンド・メイソン）」で販売される予定だという。
大学卒業後、編集者として働いていた柯さんは、あるとき体調を崩して故郷の彰化県に戻り、休養する日々を送っていた。ある日、柯さんは市場で買ってきたイチゴを使い、ジャムを作ることにした。当時、厨房に立つことに大して興味を持っておらず、ジャムを作ることも簡単に考えていた。その結果、柯さんのジャム作りは失敗した。しかし、その「失敗した最初のジャム」がかえって柯さんの負けん気と好奇心に火をつけた。こうして柯さんは、ジャムやマーマレード作りを仕事にすることにした。
柯さんは次第にジャムやマーマレード作りの奥深さに魅せられていった。例えば四季折々の果物、果物と合うお茶や酒、それに世界各地から集めた砂糖など、それらがどのような化学変化を起こすのか一つ一つ研究していった。研究しているうちに、あっという間に10年が過ぎた。
台湾人が作ったマーマレードが、イギリス屈指のマーマレードの大会で「ダブルゴールド」を獲得したことは、言ってみれば「台湾人のソウルフードである滷肉飯のコンテストで、外国人が金賞を獲ったようなもの」と柯さんは笑う。
しかし、台湾の農業技術は非常に成熟しており、しかも熱帯の果物と温帯の果物を同じ土地で栽培することが可能だ。この大会をきっかけに、台湾産の果物が海外に渡り、海外の人々に味わってもらえた。これからもマーマレードを通して、もっと多くの人々に台湾産果物の良さを知ってもらえたら、と柯さんは思う。
柯さんによると、ジャムやマーマレードというと、台湾人の99％はパンに塗って食べるが、実際にはさまざまな楽しみ方がある。柯さんは近年、マーマレードと台湾の料理を合わせた食べ方を提案している。例えば柑橘系のマーマレードと滷肉飯の組み合わせは意外に美味しいので、ぜひ試してみて欲しいとのことだ。