2024/05/03

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張毅監督が現代を反省する『狗狗傷心誌』、シンガポールの映画祭で上映へ

2019/04/19
18日にシンガポールで開幕した第7回シンガポール中国語映画フェスティバルで、台湾の映画監督、張毅氏が手掛けた『狗狗傷心誌(A Dog’s Life)』など名作の数々が上映される。写真は『狗狗傷心誌』の一場面。(張毅氏提供、中央社)
18日にシンガポールで開幕した第7回シンガポール中国語映画フェスティバル(Singapore Chinese Film Festival)で、台湾の映画監督、張毅氏が手掛けた名作の数々が上映される。同フェスティバルはシンガポール社会科学大学(Singapore University of Social Sciences)の中華学術センターとシンガポール映画協会が共催しており、今年は18日から28日まで。開催期間中、厳選された60作品が上映される。台湾映画も多く含まれており、「張毅セレクション」もその一部。上映される張毅監督の作品は『狗狗傷心誌(A Dog’s Life)』、『我的愛』、『我這様過了一生』。さらにクロージング作品には『光陰的故事』が選ばれている。
 
張毅氏は台湾ニューシネマの時代を代表する映画作家の1人。台湾ニューシネマは1980年代から90年代にかけて、若手作家たちがそれまでの商業的な映画制作とは異なり、より社会的なテーマを取り入れた作品を生み出していこうとした一連の運動のこと。張毅氏は映画界を長く離れていたが、2017年に15年間費やしたという初のアニメーション映画『狗狗傷心誌』を発表した。この作品は、人と犬の出会いを描いた4つのストーリーから構成されている。世界の様々な映画祭に参加した他、昨年は台湾のアカデミー賞とされるゴールデンホース・アワード(金馬奨)のアニメーション映画部門にもノミネートされた。張毅氏は、『狗狗傷心誌』では自分たちの世代の反省をはっきり示すことを目指した。そして、そのテーマの深さと実験性は台湾の映画史上、最もユニークな例かもしれないと語っている。
 
張毅氏は他人の考えはわからないとしながらも、映画に対して最小限の誠意があるならばそこにはこの世界に対する負い目や反省が盛り込まれるべきだと主張、そうした自らの見方を映画に撮らなければ「息が詰まって死んでしまうのでは」とまで語っている。張毅はかつて手がけた『玉卿嫂』、『我這様過了一生』、『我的愛』などを例に、常にこうした理念を以って映画制作にあたって来たと説明、『狗狗傷心誌』もその一つながら、そのやましさはより深く、救いを得ることがさらに難しいものだと述べている。
 
張毅氏はまた、映画界を33年間離れていた自分のカムバック作品がなぜアニメーション映画なのか、なぜ犬が題材なのか、なぜセリフが一言も無いのかと、ファンたちは不思議がるだろうとしながらも、長い時間と巨額の資金が必要だったのはそれが最も純粋で独立した映画だからだと強調した。
 
1980年代、当時既婚だった張毅氏は女優の楊恵姍と不倫関係になったことで映画界から引退。2人は1987年に芸術家の王侠軍(ハインリック・ワン)氏と共にガラスアートの「琉璃工房(LIULI GONGFANG)」を立ち上げた。張毅氏は100本を超える映画を撮り、ゴールデンホース・アワードやアジア太平洋映画祭などでグランプリを受賞した著名な映画作家という身分から、それまで知らなかったガラスアートの世界に身を投じて今に至っている。
 
 

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