2024/05/05

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台湾出身の研究者が撮った写真、英ミレニアムシードバンクで展示

2019/04/23
台湾出身の学者で、現在はイギリスの大学で教えているIsabelle Chengさん(本名非公開)は昨年12月、台湾の離島である金門を訪れた。そこで何気なく撮影したコーリャンの写真が現在、英ミレニアムシードバンクで開催されている商業栽培と野生作物に関する展示会で展示されている。展示期間は9月下旬まで。(Isabelle Chengさん提供、中央社)
台湾出身の学者で、現在はイギリスの大学で教えているIsabelle Chengさん(本名非公開)は昨年12月、台湾の離島である金門を訪れた。新頭ふ頭や渓辺を歩き、かつてここで兵士として駐留していた父親の足跡や史料を探し求めた。金門を歩き回ったあと、友人に連れられて訪れた金沙鎮光華路のコーヒーショップでコーヒーを飲んでいるとき、店の周辺でコーリャン(高梁)が栽培されているのを見つけた。ぎっしり身をつけながらも、その茎はまっすぐ立っていた。その様子に感動したIsabelle Chengさんは写真に撮り、イギリスにいる友人に送った。
 
写真を受け取った友人はその後、これをイギリスの王立キュー植物園で働く友人に転送した。王立キュー植物園では現在、ミレニアムシードバンク(MSB)と呼ばれる施設のホールで商業栽培と野生作物に関する展示会を開催しており、Isabelle Chengさんが撮影した写真を展示物に加えることを決めた。展示は9月下旬までの開催となっている。
 
ミレニアムシードバンク(MSB)はプロジェクトの一環として、発展途上国で大量に商業栽培されている作物の近縁野生種を探し出し、保存することにも取り組んでいる。汚染されていない野生の種子を採取し、保存することによって、植物の生物多様性を保全するのが狙い。これは「生物の多様性に関する条約」が掲げる目標の一つでもある。
 
Isabelle Chengさんは、生物多様性の保全に国境はないが、自分が何気なく一般のスマホで撮った何枚かの写真によって、世界に名の知られた施設で金門コーリャンが日の目を見ることになったことについて、「全く意図していなかったことだったが、非常にうれしい」と喜んでいる。
 
Isabelle Chengさんが撮影した金門コーリャンの写真は、ナイジェリアやスーダンなどの作物の写真と一緒に展示されている。写真には「金門」の地名が明記されていないのが残念なことだとIsabelle Chengさんは指摘している。
 
なお、Isabelle Chengさんが撮影したコーリャンの正しい品種名は「台中五号高粱」で、金門で栽培されているコーリャンの大部分を占めるものだという。
 
Isabelle Chengさんは長くイギリスに住んでいる。父親は職業軍人で、1960年代と1970年代の2度にわたり、金門に駐留していたことがある。その父親は2010年にがんになったとき、Isabelle Chengさんに中国大陸を奪還する「国光計画」は確かに存在していたと話していた。父の死後、Isabelle Chengさんは関連の史料を探すため、数回に渡って金門を訪れている。その過程で、金門コーリャンの写真がイギリスで展示されることになったのは、「全く意外な収穫だった」と驚く。

 

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