2024/05/05

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「齊柏林空間」が淡水にオープン、人々は引き続き「台湾を見つめていく」ことに

2019/04/23
台湾の著名なドキュメンタリー監督、故チー・ポーリン(齊柏林)さんの記念館「齊柏林空間」が22日、新北市淡水区に開設された。オープニング特別展が開かれている。写真はチー・ポーリン監督が生前に撮影した航空写真の数々。(聯合報より、魏翊庭さん撮影)
台湾の著名なドキュメンタリー監督、チー・ポーリン(齊柏林)さんは2017年6月10日、全編空撮で台湾を記録した『天空からの招待状(原題:看見台湾)』の続編のため台湾東部の花蓮県上空で撮影の下見をしていた時、乗っていたヘリコプターが墜落して命を落とした。財団法人看見・齊柏林基金会では22日、チー・ポーリン監督を記念すると共に環境教育を普及させるため「齊柏林空間」を開設、オープニングの特別展「見山 View Above Mountains」が始まった。
 
「齊柏林空間」は台湾北部・新北市淡水区にあり、文化財にもなっている「得忌利士洋行」の奥の建物。開幕式で司会は、世界中が生態系保護への意識を高めようとするアースデイに「齊柏林空間」が開幕することは、この土地と台湾に関心を寄せ続けたチー・ポーリン監督の初心にかなうと強調した。「齊柏林空間」を立ち上げるプロジェクトが発起されたのは昨年12月27日。その後わずか2カ月で8,052人がサポーターとして加わり、この日淡水区で開幕を迎えることとなった。
 
看見・齊柏林基金会の欧晋徳董事長(理事長)によれば、チー・ポーリン監督は空からの撮影を行った後、淡水河の河口から台北松山空港に戻るのが特に好きで、淡水はあまりにも美しく、広々とした場所だと話していたという。欧董事長は、淡水は馬偕(George Leslie MacKay)博士が100年あまり前にカナダからやって来て定住した場所であるばかりでなく、100年後には「齊柏林空間」も設置されたと指摘し、チー・ポーリン監督が馬偕博士と同じように台湾の歴史の一部となることに期待した。
 
馬偕博士は長老派教会の牧師で、19世紀末に布教と医療活動のため台湾に渡り、淡水に診療所を開いた。同診療所は現在の台湾基督長老教会馬偕医療財団法人馬偕紀念医院(病院)の前身である。
 
チー・ポーリン監督は空からの撮影に25年近く従事。撮影した航空写真は30万枚以上で動画も多い。このため「齊柏林空間」での展示企画は非常に難しいという。今回、オープニングの特別展を「見山」としたのは主に、チー・ポーリン監督が山を撮るのが好きだったため。長年目にしてきた緑と雪による白の他、最近は3つ目の色が見られるようになった。それは土石流で破壊された山の黄色。同基金会ではこのため、今回の特別展のテーマを選ぶ際に「雲が払われて山が見える」(「撥雲見山」)ようにと願い、「見山」を主題とすることにしたのだという。
 
チー・ポーリン監督の息子、齊廷洹さんは半年で「齊柏林空間」の開幕にこぎつけた。開幕に大勢の人が駆けつけたことについて齊廷洹さんは、死去して間もなく2年だが、多くの人がまだ父を覚えていてくれると感謝した。
 
開幕式に出席した朱立倫前新北市長は、チー・ポーリン監督とは多く会う機会があったと明かした上で、彼はいなくなってしまったが、自身が市長だった時期に決めることが出来たこの場所でチー・ポーリン監督の精神がずっと受け継がれていくようにと願った。また、侯友宜新北市長は、「齊柏林空間」が長い歴史を持つ淡水の「老街」(古い町並みを残す通り)に設置されたことを取り上げ、「老街」の中でも「得忌利士洋行」は台湾で最も古い五大「洋行」(外国人経営の商社)の一つだと指摘、ここに「齊柏林空間」が出来ることは歴史と文化の継承を示すだけでなく、皆にどうやって持続可能な環境を実現し、我々の土地を守っていくかを常に考えさせることを代表していると強調した。
 
 

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