2024/05/02

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矮性インゲンマメの「台中6号」、輸出野菜の新たな「ドル箱」狙う

2019/04/25
行政院農業委員会台中地区農業改良場が背の低いタイプのインゲンマメ「台中6号」を開発。素早い冷凍とパッケージが可能で、輸出野菜の新たな「ドル箱」になると期待されている。写真は「台中6号」を他の品種と比較した写真。(行政院農業委員会台中区農業改良場提供、中央社)
行政院農業委員会(日本の農水省に相当)台中地区農業改良場は農家が大いに期待する中、6年かけて矮性種(ツルなし。背の低いタイプ)のインゲンマメ「台中6号」を開発した。調理の際に取らなければならない筋が無く、味も甘い。機械で一度に収穫でき、素早く冷凍とパッケージをすることが可能で、台湾の「新緑金」(輸出野菜の新たな「ドル箱」)になると期待されている。
 
台中区農業改良場の林学詩場長によると、台湾の野菜輸出量は年間で6万9,000トンに達している。輸出額30億台湾元(約107億日本円)あまりのうち24億5,000万台湾元(約88億日本円)は枝豆による。この産業チェーン(サプライチェーン)を支える台湾区冷凍蔬果工業同業公会(台湾冷凍野菜果物同業組合)と枝豆の加工業者は5、6年前から行政院農業委員会に対して別の冷凍野菜の輸出を推進するよう要望、その対象として矮性種のインゲンマメに期待していた。このインゲンマメなら枝豆の加工工場のオートメーション設備が利用出来、枝豆の無い閑散期に工場を稼働させることが可能。それにより野菜の輸出額を増やすことも出来る。
 
台中区農業改良場では2013年に品種の収集に着手、2014年から開発に取り組み、6年かけて新品種「台中6号」を創り出すことに成功した。植物品種権(育成者権)も取得済み。「台中6号」は11月から12月にかけて種をまき、翌年1月から3月には機械で一度に収穫を終えられる。根が強いため枝豆を収穫する機械がそのまま使用できる。それにより、1台1,000万台湾元(約3,580万日本円)以上するこうした機械、並びに枝豆を作る広大な土地が生み出す価値がさらに高まることになる。このインゲンマメは1ヘクタールあたり8,000kgから1万kg収穫することが出来る。台湾南部の高雄市、屏東県で枝豆を生産している畑で栽培することが可能なほか、台湾中部で米の二期作を行っている水田でもインゲンマメへの転作が出来るという。
 
「台中6号」は深い緑色で筋がなく、甘みを帯びている。冷凍するといっそう鮮やかな緑になるほか、食感はきめ細やか、かつシャキシャキとしており非常においしいとのこと。台中区農業改良場によれば、「台中6号」の特長や産業としてのスムーズな仕組みに対し、育成を委託した台湾区冷凍蔬果工業同業公会と枝豆の加工業者は大変満足しており、試食してもらった日本の取引先からも大変好評だという。枝豆の加工設備を使うことで4時間以内に冷凍とパッケージを終え、屏東農業生物科技園区(屏東農業バイオテクノロジーパーク)から直接輸出することが出来るなど様々な利点があり、台湾の農業輸出の新たなスターに成長することが期待されている。
 
 

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