2024/05/06

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労働者退職金条例改正、永久居留権取得者1.5万人に恩恵

2019/04/29
立法院が「労工退休金条例」改正案を可決し、適用対象を拡大すると共に規定を守らない雇用者への罰則を強化。また、労働基準法も一部改正し、派遣労働者の権益をさらに保障した。(中央社)
立法院(国会)が26日、「労工退休金条例(労働者定年退職金条例)」の改正案を可決し、同制度の適用対象が拡大されることになった。永久居留許可の取得者(海外籍配偶者と一般居留者を含む)は同条例の適用が受けられるようになり、約1万5,000人が恩恵を受けると見られている。また、個人事業主(タクシー運転手、屋台経営者、SOHOなど)や実際に労働に従事している雇用者、委託を受けて働く人たちが毎月の収入の6%を退職金として積み立てるのを奨励するため、この部分は所得から控除する。10万人以上が恩恵を受けるという。
 
一方、雇用者が従業員のための退職金積立金を拠出したり、滞納金を支払ったりするのを促すため、労働部(日本の厚労省に類似)は規定を守らない事業単位とその責任者の名を公表する。また、退職金や「資遣費(解雇金)」の未払いがあった場合、雇用者に対して従来25万台湾元(約89万日本円)の罰金が科されたが、今回の改正で罰金が30万台湾元以上150万台湾元(約107万日本円から約535万日本円)以下へと強化された。さらに未払い分の支払いに期限を設け、期限通りに支払わなかった場合はその回数に応じて処罰を加える。さらに労働部労工保険局は、雇用者による退職金未払いなどの責任を一般の債務より上位におき、弁済では退職金の支払いを優先させることにした。
 
また、定年退職金を受け取る権利の面でも一部改正された。労働者が死亡した場合、死亡者の遺族には死亡給付金が支払われるほか、遺族による退職金の受け取り申請も可能。しかし、昨年末の時点でまだ2万2,000人分、4億台湾元(約14億2,700万日本円)あまりの退職金が請求権の期限切れで国に没収された形となっている。今回の改正では、遺族及び法律で定められた受取人が死亡者の退職金を請求できる期間をこれまでの5年から10年へと延ばした。
 
一方、労働者派遣事業者が派遣契約期間を以って派遣労働者と期限の限られた契約(定期契約)を結ぶ根拠とし、労働関連法令のうち契約の打ち切りや「資遣費」支払いの責任を逃れようとするのを防ぐため、立法院本会議は26日、労働基準法を一部改正し、派遣事業者と派遣労働者が結ぶ契約は期限を決めない「不定期契約」とすることを明確に定めた。
 
現在、行政機関及び司法機関はいずれも、派遣労働者の仕事は派遣事業者にとって経常的な業務であり、契約は期限を設けるべきではないとみている。今回の法改正が、派遣事業単位は派遣労働者と「不定期契約」を結ばなければならないと明文化したことに対し、労働部は支持する立場を示している。
 
労働部によると、今回の法改正では派遣事業単位が派遣労働者に対する給与を支払わず、労働者が支払いを求めても雇用者がこれに応じなかった場合、労働者は派遣先に支払い責任を負うよう求めることが可能になっている。こうした改正方向は、法律によって派遣先に給与の補てん責任を負わせ、派遣労働者の給与を保障しようとするもので、労働部はこれに対しても支持する立場を示している。
 
 

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