2024/05/03

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初出動の研究船「レジェンド」、南シナ海で高さ4,000mの「伝奇海山」の輪郭を示す

2019/05/20
海洋調査研究船「レジェンド」が初出動で南シナ海を調査、高さ4,000m以上の「伝説の海山」の輪郭を初めて明らかにした。図は「レジェンド」(右上)による調査の仕組み。船の下にはソナー。後ろにつながっているのが「マルチチャンネル反射法地震探査システム」のストリーマーケーブル。(科技部サイトより)
科技部(日本の省レベル)は17日に記者会見を開き、海洋調査研究船「励進研究船(レジェンド)」が初めての調査でその任務を果たしたと明らかにした。国立中央大学(台湾北部・桃園市)地球科学科の「特聘教授」(ディスティングイッシュトプロフェッサー)、許樹坤氏の研究グループは南シナ海における海盆の形成と変化について詳しく知り、それによって起こりうる大地震や津波などの自然災害に備えるため、「励進研究船」の「マルチビームソナー」を「長いストリーマーケーブルを使用するマルチチャンネル反射法地震探査システム(MCS)」と組み合わせて調査を行った。「マルチビームソナー」は海底の地形を再現することが出来、「マルチチャンネル反射法地震探査システム」は海床の下の地質構造を調べられる。
 
今回の調査では南シナ海における地質科学の上で大きな成果が二つあった。一つは南シナ海の海洋地殻にV字型もしくは「列島型」の海底火山があることがはっきり示されたこと。これは南シナ海にマントル・プルームがあり、岩流圏に伴って東もしくは東南に移動している可能性を暗示している。
 
もう一つは、今回の調査では南シナ海の中部にある比高(高さ)4,000メートル以上の「伝奇海山(伝説の海山)」を初めてはっきりと描き出すことに成功したこと。同時にサブボトムプロファイラー(SBP)による測定結果から、「伝説の海山」とその付近の山には何度かの崩落が起きており、ふもとに崩落物が堆積した層があることがわかった。これまでは「何かある」とわかっていても、その姿ははっきりしなかった。今回初めてそれを描き出せたことは大きな成果であり、研究グループは「伝説の海山」を「励進海山」あるいは「LEGEND海山」と名付ける方針だという。
 
研究グループはこうした調査結果を以下の結論にまとめている。まず、「伝説の海山」のふもとに崩落して出来たと見られる地層があり、マニラ海溝の沈み込み帯では過去に何度かの大地震が発生したと考えられる。また、その時には大規模な津波が起きていた可能性もあり、南シナ海周辺の国々は警戒をより高める必要がある。さらに調査では、海盆の中心線の海面の上空20キロメートルの気温、湿度、気圧、風速、風向き、並びに海面下1,800メートルまでの水温と、海と空を垂直に結んだ断面の実際の計測値を得ることに成功しており、今後、南シナ海周辺を対象とした天気予報の精度向上に役立つという。
 

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