フリーで活躍する台湾の振付家、蔡博丞(Po-Cheng Tsai)さんはかつて、台湾のコンテンポラリー・ダンス集団、雲門舞集(クラウド・ゲイト・ ダンスシアター)の姉妹団体、雲門2(クラウドゲート2)やスイス、ドイツ、オランダなどにおける国立のダンスカンパニーのゲスト振付家を務めた経験を持つ。蔡博丞さんが演出したペアダンス「浮花 (Floating Flowers)」や「Hugin/Munin」、「INNERMOST」などの作品は、台湾だけにとどまらず海外からも高い評価を得て、数多くの賞を獲得している。また2018年にはドイツのダンス雑誌「Tanz」が発表した2017/2018年シーズンの有望な若手ダンサーに選ばれた。
蔡博丞さんが芸術総監を務める「B.DANCE(丞舞製作団隊)」が2016年から始めたダンスフェスティバル「B.OOM by B.DANCE国際聯合金獎匯演」は、今年で2回目を迎える。同フェスティバルの主催団体によると、今年は台湾のほか、イタリア、スペイン、ポルトガル、ルクセンブルグ、ベトナムの6か国・地域からフリーの振付家が参加して、70分に及ぶプログラムで賞を獲得した演出作品を披露するという。
フェスティバル参加者のイタリアの振付家、Andrea Costanzo Martiniさんは、「What Happened in Torino」を上演する。この作品は、精神状態と身体能力の極限に挑戦したソロダンスで、ドイツ・シュツットガルト国際ソロダンス・シアター・フェスティバルで金賞を獲得した。
同じくスペインの振付家、Miguel Zomas BallabrigaさんとCarmen Fumero Alfonsoさんは、共同で演出したペアダンスの作品が、米国の有名なJacob's Pillow Dance Festivalで披露された経歴を持つ。
また、アフリカンダンス、ストリートダンス、中国大陸の古典舞踊を学んだことがあるルクセンブルクの女性振付家、Jill Crovisierさんは今回、四大陸で披露されたことのある芸術作品「Zement, the Solo」を披露する。
オランダ在住のベトナム人振付家、Tu Hoangさんは、しっかりとしたクラシックバレエの基礎を持ち、さらに太極拳や武術も学んだ経験がある。Tu Hoangさんの演出による東洋文化に触発された作品「Trial」は2018年、カナリア諸島のコンテンポラリーダンス・フェスティバル「マスダンザ(MASDANZA)」の金賞、デンマーク・コペンハーゲン国際ダンスコンペティションの3位に選ばれた。
振付、衣装デザイン、舞台デザイン、ダンスの全てをこなすポルトガルのアーティスト、Liliana Barrosさんは、ソロダンス作品「NERVURE」を上演する。
フェスティバルではまた、蔡博丞さんによる新作「Orthrus」もお目見えする。ギリシャ神話の中の双頭の魔犬「オルトロス」にインスピレーションを得た作品だ。
「B.OOM by B.DANCE国際聯合金獎匯演」は、台湾北部・台北市の台北水源劇場で、28日と29日に開催されるのを皮切りに、7月5日から7日までマレーシア・クアラルンプールでも公演が行われる。