2024/05/05

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国家両庁院、バリアフリーで誰もが楽しめる劇場目指す

2019/07/12
国家両庁院は、劇場が高齢者、障がい者、乳幼児などあらゆる人に開放されるべきとの考えのもと、芸術家や観客と共に、劇場観賞を楽しめる場を提供できるよう努めている。(国家兩庁院提供、中央社)
台湾北部・台北市にある総合芸術文化施設、国家両庁院(ナショナル・シアターとナショナルコンサートホール)は、誰もが共有できる劇場の可能性を創造するため、台湾を代表する男性合唱団、拉縴人男声合唱団(Taipei Male Choir)を招きイベントを開催した。
 
国家両庁院の芸術監督を務める劉怡汝さんは、「劇場は誰もが楽しめる場所で、高齢者、障がい者、乳幼児などあらゆる人に開放されるべきだ。ただし、お互いを尊重する気持ちを忘れてはならない。そこで、国家両庁院が推進するのが『リラックスして楽しもう(Relaxed Performance)』」という計画で、すべての人に劇場で舞台芸術を楽しんでもらえる権利があることを知ってもらいたい」と強調した。
 
しかし、一般的には劇場鑑賞において、静かにきちんと座って動かないようにするというマナーがある。国家両庁院の「Relaxed Performance」演奏会は、パフォーマンスと周囲の環境を調整、強い光や照明による演出効果を減らし、親子でも高齢者でも、感覚過敏や知的障がいがある人など、様々な異なる配慮が必要な観客が、リラックスして楽しめるよう工夫されている
 
劉怡汝さんは「Relaxed Performance」について、「一般の公演を鑑賞でき、さらに自由さが加わったもの。誰もが足がしびれたら立ち上がって少し歩いたり、高齢者が公演の途中でトイレに行きたくなれば、行くことができ、また戻ってこられる」と説明した。その上で劉怡汝さんは、「国家両庁院の職員は、劇場鑑賞には様々な人が訪れ、それぞれ異なったサービスの提供が必要になることを学ばなければいけない。鑑賞中に退出したくなっても我慢することはなく、障がい者や高齢者などに国家両庁院に行きづらいと思わせてはいけない」とした。
 
「Relaxed Performance」は無料サービスではなく、一般の劇場チケットと同じように価格が設定されている。これは、障がいを持つ多くの人たちは、決して特別な待遇を望んでいないからだという。
 
劉怡汝さんは、文化的平等という意識の高まりや芸術の共有プロセスの推進に伴い、劇場、芸術家、パフォーマンスグループ及び観客が一体となって取り組む必要があると語った。今回のイベントはただの始まりにすぎず、劇場はバリアフリーの筆頭者となり、芸術家はクリエイティブな面から多様性のある劇場鑑賞の可能性を模索し、観客は思いやりと尊重の精神を持って入れば、すべての人が一緒に友好的で多様性を許容した劇場鑑賞の環境を創造することができる。

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