2024/05/06

Taiwan Today

政治

へき地の子どもたちに人生捧げた陳俊朗さん告別式、副総統から表彰  

2019/07/15
陳さんは過去20年にわたり、さまざまな背景を持った子どもたちが放課後を安心して過ごし、さまざまな学びを与える場所として「孩子的書屋(子どもの本の家)」を運営してきた。(外交部サイトより)
台湾東部、台東で14日、地元の子どもたちのため尽力した陳俊朗さん(享年55)の告別式が行われ、参列した陳建仁副総統から長年の貢献を表彰する褒揚令が遺族に贈られた。褒揚令は世の中に大きく貢献した国民に対して政府から贈られるもの。
 
陳さんは過去20年にわたり、子どもたちが放課後を安心して過ごし、さまざまな学びを与える場所として「孩子的書屋(子どもの本の家)」を運営してきた。この施設は陳さんの尽力で9カ所に設けられ、これまで2000人以上の僻地の子どもたちを見守ってきた。特に、暴力やいじめに苦しむ子どもや不良少年のレッテルを貼られた居場所のない子どもたち、社会的弱者の子どもたちとその家庭に手を差し伸べ、「陳パパ」と呼ばれ広く愛されていた。陳さんは今月4日に心疾患のため急逝し、多くの人がその死を悼んだ。
 
陳さんは2018年に東部の花蓮県で行われた慈善イベントに参加したとき、施設を開いたのは弱く貧しい人々を救うためだったと述べた。当時のことについて「見過ごすことができなかっただけ。いったん取り組み始めると、それをやめる理由は何もないと思った」と語っている。特にへき地の子どもたちは教育システムから取り残され、不当な扱いを受けたり犠牲になったりしやすく、学業が思わしくない子供は、軽んじられたり無視されたり、暴力にさらされることすらあるため、施設を通じて自分で生きられる力を養い助け合う心を伝えている。
 
「孩子的書屋」に集まる子供たちは、地元の建材で建物を建て、畑を耕して作物を育て、カフェ経営で経済的な自立にも取り組んでいる。また物々交換などでコミュニティを自給自足の経済体として独り立ちできるようにし、生きていく上での困難も解決しようとしている。
 
また、素行が悪いとみなされる子供たちは、長い間外からは想像できないような抑圧を受けていたり、見えない傷や苦しみを抱えていたりするため、施設を通じて自分の人生を変え、自分の思いをかなえられるようにしてあげたいとの願いも込められている。
 
陳さんは、片親家庭や社会的弱者の子どもたちは自分の生い立ちを自分で選んできたわけではないとし、自ら運命を変えるきっかけをつかむ手助けをしていた。若い頃はギターを教えていたという陳さんは、1999年に年老いた両親の面倒を見るためふるさとに戻り、自身の子どもに音楽や勉強を教えたり、物語を一緒に読んだりしていたが、そこから息子の同級生や地域で食べるものに困っていたり、居場所のない子どもたちの面倒を見るようになったそうだ。
 
後に、同じ思いを持つ仲間と協力し、本やコンピュータの寄付を募り、地元の住民にコンピュータを教え、子どもたちの勉強をみながら、時には子供たちと自転車で台湾一周にチャレンジもした。子どもたちは建物を建てたり、料理やスポーツ、アーチェリー、ドリップコーヒーの入れ方を学んだりと、この書屋はまさに子どもたちの第二の家ともいえる居場所になっていった。
 
陳パパとして愛された陳さんが、居場所のない子どもたちの人生を変えることをあきらめず続けた結果、取り組みは20年でさまざまな地域へと広がった。陳さんによれば、周りから悪い子と見なされている子供は、理解と信頼を心から求め、誰かが社会に引き戻してくれるのを待っていると考え、寄り添う力がすべての始まりだとの信念を持っていた。

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