2024/05/03

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台湾ICDFが協力、インドネシア農家を高級農産品市場へ

2019/07/23
インドネシアのスーパーで、「Taiwan ICDF」及び「BBPP Lembang」の認証シールが貼られた野菜を手にするICDF技術団の莫国中団長。これらの農産品は、ICDFがこの場所でアグリビジネスを推進してきた成果だ。(中央社)
インドネシアのジャワ島西部バンドンなどにある大型スーパーでは、「ICDF」や「BBPP Lembang」の認証シールが貼られた農産品が目に入る。こうした農産品は30品目以上に上る。ICDFとは、中華民国外交部(日本の外務省に相当)が所管する外郭団体、財団法人国際合作発展基金会(日本の国際協力機構=JICAに相当。略称は国合会、ICDF)のこと。ICDFは約42年前からインドネシアに技術団を派遣し、地元の農業の発展を手助けしている。これらの農産品は、ICDFがこの場所でアグリビジネスを推進してきた成果だ。インドネシアの高級農産品市場にターゲットを絞った戦略は、インドネシアの首都ジャカルタまで広がる勢いで、地元の農家の収入増加につながっている。
 
台湾のICDFは2015年、インドネシア農業省と協力してバンドンに農業訓練センター「Balai Besar Pelatihan Pertanian(BBPP Lembang)」を設立し、バンドン地区でアグリビジネスを発展させるという5カ年の「バンドン計画」を推進してきた。この計画は2019年末で終了することになっている。
 
ICDF技術団の莫国中団長によると、バンドン計画は地元の農家に教育・訓練を行うことを目的としたもので、優れた品種の育成、栽培技術の改善、近代的な集荷施設を利用した貨物管理、農業マーケティング、財務管理等を教えている。すでに60名のマーケティング人材、90名の農家組織幹部、30の農家組織、1,800名の農家を指導し、独立経営あるいは協同できる能力を身に付けさせてきた。
 
また、環境制御型のスマート温室や予冷・貯蔵機能を備えた集荷場など、2015年以降順次建設を開始したハード設備を、今年11月までにすべてBBPP Lembangに受け渡すことになっている。
 
しかし、台湾とインドネシアの農業協力はこのバンドン計画をもって終了するわけではない。インドネシアが台湾に対し、計画の1年延長を求めたからだ。インドネシア側は、さらに農家を指導して、コールドチェーンの物流体制と市場の流通システムの確立に協力して欲しいと希望している。このほか、ICDFはBBPP Lembangと協力し、アグリビジネスのインキュベーションセンターである「Lembang Agribusiness Incubation Center(LAIC)」を設立しており、このモデル計画の経験をほかの都市にも拡大し、成功したビジネスモデルを確立したいと考えている。
 
バンドン計画では、ピーマン、きゅうり、ミニトマト、トマト、かぼちゃ、ヘチマ、ロメインレタス、キャベツなどの優れた品種が栽培され、すでに市場に出されている。莫国中団長は、「インドネシアの農業は、消費者が求める品質や食の安全といった要求に応えられずにいた。台湾の技術団は、台湾における高級野菜の品種と生産技術をインドネシアに持ち込み、環境制御型の温室での試作や実習指導などを通して、地元の農家に栽培技術の改善について学ばせたり、農家の想像力を刺激して、地元の環境に合った生産方法を発展させられるよう協力してきた」と話す。
 
インドネシアの多くの農家にとって、台湾の技術団が設置したようなレベルの温室を持つことは難しい。しかし、こうした設備は地元の農家の人々が、いかにして日光や温度を制御するべきかを学ぶきっかけになっている。同時に台湾の最先端設備を見せることで、「台湾の知名度向上」にも役立っているという。
 
BBPP Lembangの広報を担当するYeyep Dintanさんによると、バンドン計画は地元農家に多くのメリットをもたらした。例えば、農家たちはもともと生産した農産品を直接、市場や仲卸業者に売っていた。その後、このバンドン計画が発足を支援した農家組織やLembang Agribusiness Incubation Center(LAIC)が農産品を買い上げるようになったため、農家たちにとってはより合理的な価格が保障されるようになった。Lembang Agribusiness Incubation Center(LAIC)が買い上げ、販売する農産品には、「Taiwan ICDF」及び「BBPP Lembang」の認証シールが貼られ、バンドンやカラワンのカルフールやBormaなど4つの大型スーパーマーケットチェーンで販売されている。今年8月からはチルボンやジャカルタなどの都市に進出する計画についても商談が進んでいる。
 
莫国中団長によると、2020年から1年間の計画延長は指導期間となる。ICDFは「産地での集荷、都会でのマーケティング」というプロジェクトを立ち上げ、Lembang Agribusiness Incubation Center(LAIC)が適切なブランドロゴを作り、「契約型」、「機構型」、「インターネット型」、「eコマース型」などの各種販路を使った高級農産品市場でのマーケティングによってブランドの知名度を高めることに協力する。そして商品の付加価値を高め、消費者の信頼を勝ち取り、農家が自分たちの生産した農作物に対して誇りを持てるようにしたいと考えている。
 
ICDFは過去にインドネシア西ジャワ州の都市ボゴールでもアグリビジネス経営計画を推進していた。これに加え、現在台湾がインドネシアのカラワンで展開している総合農業モデルエリアを、新たなマーケティングプロジェクトに加えることで、インドネシアの人々に台湾とインドネシアの農業協力について知ってもらい、これが「インドネシアの消費者と農家にメリットをもたらすもの」であると認識してもらいたいと考えている。
 
 

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