2024/05/05

Taiwan Today

政治

「独学の手本」王雲五氏の直筆原稿、国家図書館に寄贈

2019/08/08
「独学の手本」とされる故・王雲五氏による約2,000点の直筆原稿(写真)が8日、国家図書館に寄贈された。王雲五氏(1888~1979)は元政治家で、中華民国における出版業界の重鎮でもあった。(国家図書館提供、中央社)
台北市王雲五基金会が長年収蔵してきた王雲五(1888-1979)氏による約2,000点の直筆原稿が8日午後、国家図書館(台湾北部・台北市)に正式に寄贈された。王雲五氏(1888~1979)は元政治家で、中華民国における出版業界の重鎮としても知られる。原稿には「岫盧最後十年自述」、「雲五手稿」、「四角號碼」などが含まれ、国家図書館にとって近年、新たに収蔵することになった直筆原稿として最も重要なものの1つだという。
 
国家図書館によると、王雲五氏は苦労して独学に励んだ手本。幼年期には5年間、私塾に通い、一時は金物店で弟子として働きながら夜の時間を利用して英語を独学。その後、京師同文館で英語を2年間学んだ以外、正規の教育を受けることはなかった。王氏はしかし18歳から各学校で英語と歴史・地理を教えるようになり、19歳の時には中国大陸・上海で、中国最初の大学とされる中国公学の教師になった。台湾の最高学術研究機関・中央研究院の胡適元院長も王氏の学生だったという。
 
王雲五氏は天文学から地理に至るまで学ばなかったものはないほどで、3年間費やしてブリタニカ百科事典を読破したこともある。また、数学、物理、土木工学、機械学なども独学、24歳の時には大学の政治学教授となった。ドイツ語とフランス語も独学で身につけた。王氏は難解な書物を読むことを好み、理解できるまで何度も繰り返し読んだという。
 
王雲五氏は正規の教育を受けていないため、身分証にある教育程度の欄には「識字」(字が読める)としか書かれていなかった。しかし彼はその後大学で教鞭をとり、博士号を目指す無数の大学院生を指導するなど、内外から「博士の父」と称えられるようになった。
 
図書館に対する王雲五氏の貢献も顕著。彼が発明した「四角號碼検字法」は業界が広く、「コンピューターが登場するまでの最も効果的な方法」と認めるもので、多くの辞書や収蔵団体に採用された。また、軍部が持つ膨大な兵籍資料も「四角號碼」によって整理されている。
 
王雲五氏は、内外の図書は学科内容、その知識の性質によって整理されるべきで、言葉の違いによって分けられるべきではないと主張。このため「杜威十進分類法(デューイ十進分類法、Dewey Decimal Classification)」を「中外図書統一分類法」へと拡充し、図書館の世界に大きな影響をもたらした。
 
 

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