2024/05/06

Taiwan Today

政治

台東の青年農家がバチカンに池上米を寄贈、ローマ教皇の昼食に

2019/08/08
台湾の青年農家2人がローマ教皇に地元の米、池上米を食べてもらおうと考えてこのほど40袋を寄贈。受け取った枢機卿はローマ教皇の昼食に出せるよう即刻運ぶよう命じるなど、破格の扱いをしたという。左の写真は寄贈式典の模様。左からコンラート・クラジェウスキー枢機卿、鍾政容さん、中華民国の李世明駐バチカン大使。右の写真は魏瑞廷さん。(左の写真は駐バチカン大使館提供、右の写真は魏瑞廷さん提供。いずれも中央社)
台湾南東部・台東県の青年農家、魏瑞廷さんと鍾政容さんは長期にわたって慈善活動に力を入れており、これまで台東天主教会や育幼院(身寄りのない子どもたちが暮らす施設)にしばしば白米を寄付してきた。そんな2人はある日、ローマ教皇にも台湾で一流とされる地元の米、池上米を食べてもらうことを思いついた。このアイデアはバチカンから好意的に受け入れられ、このほど池上米40袋をバチカンで貧しい人々を対象とした慈善活動を担当するコンラート・クラジェウスキー(Konrad Krajewski)枢機卿に直接手渡すことになったのである。
 
7日にローマを訪れて寄贈式典に参加した鍾政容さんは、「とても感動した」と話した。バチカンはローマ教皇フランシスコがサインした感謝状を用意していたほか、クラジェウスキー枢機卿も鍾さんと対面しているその場で運転手を呼び、台湾から直送された池上米をその日のローマ教皇の昼食に出せるよう、贈られた米を1袋、即刻ローマ教皇の住むカサ・サンタマルタに運ぶよう命じたのだという。
 
鍾さんに付き添ってセレモニーに出席した中華民国の李世明駐バチカン大使は、「台湾の若い農家がローマ教皇の環境保護と弱者への支援に関する回勅に呼応して最高の有機農産物を寄贈する」とした上で、台湾はかつて寄付を受ける側だったが、今では世界に貢献出来るまでになったと指摘、中華民国政府はこれからもバチカンと密接に協力し、世界の人道的な支援活動に加わっていくと強調した。
 
今年38歳の鍾政容さんはオーストラリアに留学し、レストランの副料理長になっていたが、昨年父親が病に倒れ、悩んだ末にふるさとに戻って農家として生きていくことに決めた。最初は拒否する姿勢だったが、その後、シェフの仕事は本来食材を研究することでもあると気付いた。そして自分はシェフの「川の上流」(シェフの仕事の前の段階の仕事)に来ただけで、自分の興味から外れたわけではないと考えるようになった。このため鍾さんは自らを「厨農」(キッチンの農家)と呼び、これから2種類の人生を結びつけて力を発揮していきたいと希望している。
 
一方の魏瑞廷さんは37歳で、自然の生態系を学んだ。農業を嫌がり、早くに故郷を離れていた。しかし10年前に有機農業を始めた父親が1人で苦労しているのをみかねて、学んだことを実家で役立てようと思い直した。魏さんは動物の糞便などの汚染源を完全に無くすなど厳格な自然栽培を実行、収穫した米にハラル認証を取らせることに成功したほか、米国食品医薬品局(FDA)の認可も得て、ドバイやオマーン、香港、米国などへの輸出を実現している。
 
自身もカトリック教徒である魏瑞廷さんは今回、地元での農業が多忙で米の寄贈式典には参加できなかった。魏さんは、「農夫がお金を寄付するのは難しいがお米なら全然問題ない」と話し、今回寄付した40袋はローマ教皇に食べてもらうほか、米を必要としている人にも分け与えてくれるよう手紙で要請したことを明らかにした。
 
 

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