2024/05/03

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第30回「伝統及芸術音楽金曲奨」、授賞式が行われる

2019/08/12
第30回「伝統及芸術音楽金曲奨」の授賞式が10日夜、台湾戯曲センター(台湾北部・台北市)で行われた。写真は作品『夜未央』で「最佳団体演出奨(=最優秀団体演出賞)」を受賞した唐美雲歌仔戯団のメンバー。中央は団長の唐美雲さん。(中央社)
第30回「伝統及芸術音楽金曲奨」の授賞式が10日夜、台湾戯曲センター(台湾北部・台北市)で行われた。最大の賞とされる「最佳団体演出奨(=最優秀団体演出賞)」は唐美雲歌仔戯団の『夜未央』が、「最佳演員奨(=最優秀俳優賞)」は台湾オペラと呼ばれる歌仔戯(ゴアヒ)の役者、古翊汎さんが獲得した。「伝統及芸術音楽金曲奨」は台湾最大の音楽賞「金曲奨」(ゴールデン・メロディ・アワード)のうち、伝統音楽と芸術音楽を対象としたもので、国立伝統芸術センターが主催している。
 
「最佳演員奨(=最優秀俳優賞)」を獲得した古翊汎さんは今年、同賞受賞の呼び声が最も高かった。薪伝歌仔戯劇団の『夢断黒水溝』の演技が評価され、同賞を受賞した。古翊汎さんは昨年の「伝統及芸術音楽金曲奨」でも「最佳個人表演新秀奨(=最優秀パフォーマンス新人賞)」を受賞している。古翊汎さんは、京劇から歌仔戯に転向した役者であることから、「転向の過程で、しばしば自分に足りない点を自覚している。ただ努力し、学習あるのみ」とコメントした。
 
なお、今年の「最佳個人表演新秀奨」は京劇の役者である李家徳さんが『陸文龍』で受賞した。李家徳さんは古翊汎さんと反対で、歌仔戯の出身でありながら、京劇の舞台で才能を開花させた。
 
出版部門の「最佳演奏奨(=最優秀演奏賞)」は、パイプオルガンの奏者である陳毓襄さんの音楽アルバム『陳毓襄・雨夜琴声—聆聴台湾最古老的管風琴』が受賞した。太平境馬雅各紀念教会(台湾南部・台南市)にある149年の歴史を持つパイプオルガンで演奏した曲目が収録されている。また、「最佳演唱奨(=最優秀歌唱賞)」は台北愛楽室内合唱団の音楽アルバム『大地之歌—傾聴城市的声音』が受賞した。
 
また、音楽アルバム『我們的時代、我們的歌—中文、台語芸術歌曲専輯』のうち、作曲家の頼徳和さんが作曲した『咬舌詩』が、「最佳作曲奨(=最優秀作曲賞)」を受賞した。頼徳和さんにとって「伝統及芸術音楽金曲奨」での受賞は2度目のこと。2014年にもヴィオラとピアノのために作曲した作品『悲歌』で、第25回「最佳創作奨(=最優秀創作賞)」を受賞している。
 
「最佳作詞奨(=最優秀作詞賞)」は詩人の李敏勇さんが、音楽アルバム『黙祷—蕭泰然老師紀念音楽会録音専輯』に収録されている楽曲『傷痕之歌』で獲得した。李敏勇さんは台湾大地震(1999年9月21日)に遭遇した台湾の社会や人々の心を慰めるため、作曲家の蕭泰然さんと一緒にこの楽曲を作った。
 
「最佳芸術音楽専輯奨(=最優秀芸術音楽アルバム賞)」は、コントラバス奏者の傅永和さんの音楽アルバム『巴赫六首低音提琴無伴奏組曲』に与えられた。「最佳宗教音楽専輯奨(=最優秀宗教音楽アルバム賞)」は、台湾基督長老教会艋舺教会のパイプオルガン演奏アルバム『只為了你』が、「最佳伝統音楽専輯奨(=最優秀伝統音楽アルバム賞)」は高雄市(台湾南部)茂林国小(=小学校)ルカイ族合唱団の歌声を収録したアルバム『来唱歌ㄖㄚ』が受賞した。また、「最佳音楽設計奨(=最優秀音楽デザイン賞)」は歌仔戯(ゴアヒ)の団体である春美歌劇団の作品『咫尺天涯』に贈られた。
 
なお、今年の「特別奨」のうち戯曲部門は戯曲学者の王安祈さんに贈られた。王安祈さんは、学者、教師、舞台評論家、劇作家などさまざまな顔を持つ。学者としてさまざまな著書があり、伝統戯曲の真髄に精通しながら、現代的な思考も持ち合わせ、台湾における戯曲の近代化にとって重要な役割を果たしている。これまでに手掛けた作品は、その多くが叙事的な手法で人間の本質に迫るもので、「台湾における京劇・崑劇の現代的新美学」を築き上げるなど、伝統戯曲の世界に与える影響は大きい。
 
王安祈さんは、「若いころは、こうした理念を広めるに当たり、疑問や反対の声を投げかけられることが少なからずあった」と振り返る。「しかし、年を重ねてこのように受賞できたのは、まさに戯曲の近代化を推進してきたおかげなのだ」、「この栄誉を、その創作人生を自分と共に伝統の打開に取り組んできた仲間たちに捧げたい。我々は新しい時代の審美観を作り上げ、変えることに成功した。戯曲はもはや過去形でも完了形でもない。現在進行形であり、そして未来形でもあるのだ」と語った。
 
「特別奨」のうち出版部門は、レコーディング・エンジニアの葉垂青さんに贈られた。葉垂青さんは1970年代から現在に至るまで、台湾音楽界において最も重要で実績のあるレコーディング・エンジニアの1人で、1977年から1990年代末までに2万枚あまりのアルバムの録音に携わった。1980年代末には他に先駆けてマスターテープをCD用にデジタル変換するPCM技術を取得。この技術を台湾のレコード産業界に提供し、CD生産工場の誕生を助けた。台湾における戦後の「声・音声」の記録に大きく貢献してきた。
 
葉垂青さんは、「過去半世紀にわたり、台湾の音楽はさまざまな発展を遂げてきた。多くの音楽家たちと協力し、彼らの作品を記録出来たことを幸運に思う。音楽に対してこだわってきた初心を忘れず、これからも周囲のレコーディング・エンジニアたちと共に、台湾の音楽のために努力を続けていきたい」と抱負を語った。
 
 

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