2024/05/05

Taiwan Today

政治

国立台湾大学生農院がスマート農業実現に向けドローン導入

2019/08/21
国立台湾大学生物資源および農学院と経緯航太はこのほど、産学提携による「先端農業開発実験室」を設立。映像システムや農薬散布システムを搭載した農業用無人航空機を実用化して、次世代のスマート農業実現を目指す。(国立台湾大学提供、中央社)
台湾の農業競争力は人材にあり、農業教育のカギは人材の育成にある。国立台湾大学生物資源および農学院(台大生農院)と無人航空機を開発・生産する台湾の経緯航太(GEOSAT)はこのほど、産学提携による「先端智農実験室(Apex Agri-Intelligence Lab、先端農業開発実験室)」を設立した。映像システムや農薬散布システムを搭載した農業用無人航空機(ドローン)を実用化して農業の各種サービスを提供する。さらにこれらを教育と研究にも取り入れ、未来の台湾における専門的な農業人材の育成を促し、スマート農業国家の実現を目指す考えだ。GEOSATは、アジアで初めて川上から川下まで垂直統合して担う台湾でも大手のドローンメーカー。
 
極端気象の発生が日に日に脅威となっている上、台湾では農業人口の高齢化や減少による労働力不足が大きな問題だ。そのような中、スマート農業の実現は、今後の農業の発展におけるトレンドとなっている。台大生農院とGEOSATによる「先端農業開発実験室」は、農業に先端科学技術を加え、スマート農業の導入を目指すものだ。同実験室は19日午前、開設を記念する除幕式を行った。そこでは、新たに開発された無人芝刈り機や無人農薬散布機などの農業用ロボットが紹介された。
 
国立台湾大学は、「先端農業開発実験室」のソフトウエア・ハードウエアは生農院での教育にも生かせるとしている。今後、ドローン操縦訓練、リモートセンシング技術とアプリケーション、映像からの解析、農作物パターンの認識などに関連する教育課程を展開する計画だ。
 
台湾が誇りに思っている農業は現在、数多くの課題に直面している。そこで先端技術を導入することで生産技術の問題や労働力不足などを解決し、未来の農業発展のトレンド「スマート農業」の実現を目指す考えだ。スマート農業には、様々な分野の先端技術が結合されている。それらの技術とは例えば、情報通信技術、ビッグデータ分析、IoT(モノのインターネット)ネットワーク、ブロックチェーンなど。極端気象発生による影響を弱め、人件費を削減し、生産・マーケティングプラットフォームを構築することで、アグリビジネスの転換を促進する。
 
現在、国立台湾大学の乳牛牧場では、動物科学技術学科とバイオ産業機械電気工学科の協力のもと、10種類のセンサーを備えたスマート牧場を構築し、さらに品質の優れた牛乳が生産されている。台大生農院附属農業試験場には、水田センサー、気象観測ステーション、タイムラプス撮影機材を設置し、映像を用いた農作物栽培の管理を行っている。また、IoTデバイスによってリアルタイムの観測データが送信され、データを把握して即座に管理上の方針を決定することができ、作物生育モデルを構築、農作物の生育時期や収穫量を予測することもできる。
 
このほか、国立台湾大学農学院実験林管理所と台湾中部・南投県仁愛郷梅峰山農場もスマート農業に向けた機器設備を導入しており、台湾における林業や高冷地農業の研究・開発の向上にも一役買っている。また、食の安全に関しては、既にブロックチェーン技術を活用した生産プロセスの管理を行って行っており、トレーサビリティ制度によって食品の安全性を高めている。
 
「先端農業開発実験室」を設立したことで、有効な情報(ビッグデータ)を引き出すことが可能となる。まずは、タイムリーな方針決定と統合を進め、リアルタイムで観測データを把握することができれば、今後のトレンドが予測できるようになる。
 

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