2024/05/05

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政治

NZの飲食業界で最も権威ある賞、台湾人シェフが初めて獲得

2019/09/11
台湾出身の李信男さん(写真)が料理長を務めるレストラン「Clooney」は昨年、台湾人として初めてニュージーランドの飲食業界で最も権威ある賞「クイジーヌ・グッド・フード・アワード」のスリーハットを獲得した。(中央社)
ニュージーランドの「クイジーヌ・マガジン」が主催する「クイジーヌ・グッド・フード・アワード」は、同国の飲食業界で最も権威ある賞で、南半球のミシュランガイドとも称される。評価方法はミシュランと似ているが、評価を表すのは星ではなくハット(帽子)だ。1~3まであり、ハット3つがニュージーランドの飲食業界における最高評価で、ミシュランの3つ星と同等とみなされる。
 
ニュージーランドで昨年、ハット3つを獲得したレストランはわずか4軒。そのうち1軒は、台湾出身の李信男さんが料理長を務めるレストラン「Clooney」だった。台湾人シェフが「クイジーヌ・グッド・フード・アワード」ハットを獲得したのは、これが初めてのこと。
 
李信男さんはこのほど一時帰国し、ゲスト・シェフとして招かれたリージェント・タイペイ(台北晶華酒店)に姿を見せた。麗晶学苑(リージェント・アカデミー)で講師を務めた李信男さんは、レストランの皿洗いからキャリアを積んできたことを明らかにした。
 
李信男さんは小学校卒業後、シンガポールに渡った。しかし、勉強が好きではなかったことに加え、レベルの低いクラスに入れられたことから授業をさぼるようになり、最後は休学することを選んだ。李信男さんの担任は当時、「このようなことでは、何一つ成功することはできないだろう」と話したという。
 
休学を選んだ李信男さんは、ニュージーランドに渡ることを決めた。そのときは、ほかの多くの人と同じように、大学に進学して学業を続けようと考えていた。しかし、卒業半年前に父親が亡くなったことが、李信男さんの人生を大きく変えた。
 
ニュージーランド留学を切り上げて台湾に戻るよう、母親に言われた李信男さんは、「料理店に弟子入りしたい。料理を作りたいんだ」と母親に告げた。手塩にかけて育て上げ、海外留学までさせた息子が料理人になりたいと言い出したものだから、母親は大泣きしたという。
 
李信男さんはまずニュージーランドで料理人の仕事を探した。しかし、経験もなく、料理を学んだこともない。飲食業界に関する知識もゼロだ。それで「スーシェフ(料理長の下、二番手のシェフのこと)」になりたいと就職先を探したものだから、当然ながら1つも面接に合格しなかった。
 
ある有名レストランで面接を受けたとき、そのレストランの料理長から、下働き、つまり皿洗いから始めるべきだと言われた。
 
2001年の「母の日」から、李信男さんの料理人としての人生が始まった。その日のレストランはネコの手も借りたいほど忙しかったため、李信男さんは皿洗いから野菜を切るアシスタントになり、それから機会があれば新しい技術をこっそり学ぶという生活を始めた。その後、台湾に戻り、日本やフランス、オーストラリアにも渡って働いたり、学んだりした。フランスの有名シェフであるジョエル・ロブション氏(故人)、オーストラリアのシェフであるマーク・ベスト氏に弟子入りしたこともある。フランスでは、これまでの料理の知識が完全に覆され、ゼロから学び直したという。
 
台湾出身の李信男さんは、台湾の飲食や料理の技術をメニューに取り入れることもある。しかし、李信男さんに言わせれば、これはここ1~2年ほどのことで、若いときは自分が生まれ育った環境から逃げ出したくて、ずっと海外で料理を学んでいたのだという。しかし、ここ数年になっていろいろと反省することもあり、自分自身の成長やスタイルを作品の中に取り入れたいと考えるようになった。
 
「台湾には自身の伝統文化がある。これは台湾にとっての根っこだ。『小吃』と呼ばれる小皿料理や中国料理のレストランには、中国各地の料理体系が凝縮している。また、海外で学んだ若者が、台湾に戻って起業したり、就職したりすることで、台湾に多くの良い影響を与えている。今度はまた、台湾から海外へ発信していくことになるだろう。その日が来るのを楽しみにしている」と李信男さんは語っている。
 

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