ドイツを拠点とするノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター主催の「レッドドット・デザイン賞」ブランド＆コミュニケーションデザイン部門(Red Dot Award: Brand & Communication Design 2019）の結果が発表され、台湾から7作品が最優秀賞「ベスト・オブ・ベスト」を受賞した。
同部門には世界54カ国・地域から8,697作品がエントリーした。11月1日にドイツ・ベルリンで開催される授賞式で、「ベスト・オブ・ベスト」の中でも特に優れた作品に贈られる「レッドドット・グランプリ（Red Dot：Grand Prix）」と、学生対象の「ジュニア賞（Red Dot：Junior Prize）」の受賞者が発表されることになっている。
台湾からエントリーし、「ベスト・オブ・ベスト」を受賞した7作品のうち、１つは「プロフェッショナル部門」。台湾の環境保護団体「RE-THINK（社団法人台湾重新思考環境教育協会）」と簡訊設計公司（Simple info）が手掛けたデザイン作品「海廃図鑑（=海洋ゴミ図鑑）」が受賞した。「海廃図鑑」は台湾初の、海洋ゴミをテーマにした図鑑。
この作品は、代表的な海洋ゴミ101個を台湾各地で収集し、これらをタイプ別に分類し、360度全方位から撮影した写真をつなぎ合わせてウェブサイトに掲載。これにスマートフォン向け位置情報ゲーム『ポケモンGO』のデザインコンセプトを盛り込み、これらの海洋ゴミがどこに「出没」するかも紹介し、環境保護問題をわかりやすい環境教材として再包装した作品となっている。
残る6つはいずれも「ジュニア部門」にエントリーした作品。私立亜洲大学（台湾中部・台中市）は音楽のディスクジャケットデザイン作品「響到你（Track back to）」とポスターデザイン「同理心（Empathy）」で受賞。私立朝陽科技大学（台中市)はコーポレートアイデンティティ作品「青浪（SPLENDOR）」、私立嶺東科技大学（台中市）は農産品パッケージングデザイン「100％」、私立中国科技大学（台湾北部・台北市）はミクストメディア絵本「把你的阿嬤送給我好不好」、私立樹徳科技大学（台湾南部・高雄市）は台湾に生息する9種類のセミをテーマにしたデザイン製品「一鳴驚人（SOUND OF TAIWAN CICADA）」でそれぞれ同賞を受賞した。
このほか、一定条件をクリアした作品に贈られる「レッド・ドット賞」については、「パッケージングデザイン部門」で知本設計公司（PROAD）や美可特設計公司（Victor Branding Design Corp）が受賞した。また、光宝科技（Liteon）がエントリーした、ボードゲームに早変わりするキーボード用エコ包装など、面白い商品が受賞した。「UI/UX（ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス）部門」では、台湾雪豹科技（Leopard Mobile）のスポーツと星座に関するアプリがそれぞれ同賞を受賞した。
「映画/動画部門」では、ミュージッククリップやCMディレクターとして知られる陳奕仁（Muh Chen）さんが立ち上げた仙草影像工作室が人気バンド「五月天（メイデイ）」のために手掛けたミュージッククリップ「転眼（Final Chapter）」や、廖人帥（Leo Liao）さんが立ち上げたブランドOuterspaceが中国の女性シンガー、張靚穎（Jane Zhang）さんのために手掛けたミュージッククリップ「Body First」がそれぞれ「レッド・ドット賞」を受賞した。
イギリスで活躍する監督の趙安玲さんが2018年「第53回金鐘奨（ゴールデンベルアワード）」授賞式のために手掛けた動画や、奇禾数位整合行銷（iprefer）による台湾らしい風情たっぷりのCM「軒尼詩V.S.O.P摩登台菜」、旋転木馬が中国メーカーの小米のために手掛けたCM「米家人の日常（Mi Family）」シリーズなども、「レッド・ドット賞」を受賞した。
「空間コミュニケーション部門」と「エキシビジョンデザイン部門」でも、台湾のチームが健闘した。啓芸文化公司（INCEPTION）の作品「創業100週年紀念展（FUTURE：FUTURE／Panasonic）」と「中華職棒三十週年特展/無人出局」の2つの展示、格式設計策展（InFormat Design Curating）の作品「2018新竹市玻璃設計芸術節/光動（LIGHT-DRIVING）」、范承宗さんによる優れた工芸品とグランドスケープの融合作品「2018台湾ランタンフェスティバル／帆城（Sailing Castle）」や「2018菊島微型芸術祭-大風吹（The Rising Wind）」、自由落体設計（Freeimage Design）と私立龍華科技大学（台湾北部・桃園市）、国立台北商業大学（台北市）による産学協力作品「2018台湾国際蘭見本市/蘭信仰-廟宇文化巡礼主題展」などが、いずれも「レッド・ドット賞」を受賞した。
また、台湾のPC大手、宏碁（エイサー）のゲーミングブランド「Predator」が、「ブランド賞（Brand Award）」を受賞した。