2024/04/29

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政治

「Lablaco」、サーキュラーファッションで衣類の寿命を延ばす

2019/10/07
台湾出身の郭詩芸さん(写真)が立ち上げたサーキュラーファッションのプラットフォーム「Lablaco」は、衣類の寿命を延ばすために一つの選択肢を提供している。(中央社)
気候変動問題が注目される中、重工業、エネルギー、畜産業だけでなく、アパレルやファッションもよく批判される産業の一つとなっている。なぜなら、衣類を生産する過程で環境汚染が生じるだけでなく、「ファストファッション」というトレンドの中で、大量生産・大量消費が大量廃棄という問題を生んでいるからだ。フランス政府は、売れ残った未販売衣類の廃棄を禁止し、強制的に寄付させることも検討しているほどだ。
 
「サーキュラーファッション」のプラットフォーム「Lablaco」は、衣類の寿命を延ばすために一つの選択肢を提供している。創業者の一人である台湾出身の郭詩芸さんによると、この「サーキュラーファッション」という概念には2つの狙いがある。1つはデザイナーや生産者の立場に立ち、衣類に使われている素材の中に再利用が可能なものはないか探すこと。もう1つは消費者の立場に立ち、消費者が二度と着ない衣類や、商店で売れ残った衣類などのために、廃棄や焼却以外の方法を提供することだ。
 
郭さんによると、ファッション産業はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と緊密な関係がある。インスタグラムなどのSNSでシェアされる情報は、ファッションブランド業者にとって非常に有用なものだ。しかし、ファッションブランド側は新しい科学技術を使ってこれらのデータを追跡したり、消費者と意思疎通したりするにはどうすればよいかということを必ずしも理解していない。「Lablaco」というプラットフォームは、ファッションブランドが新たな科学技術を利用してデータを把握したり、消費者と関係を確立したりすることをサポートする。
 
具体的にはこうだ。サイトユーザーは、不要になった衣類の写真を撮り、「Lablaco」のサイトにアップロードして出品する。写真を見て気に入ったほかのユーザーは、送料を負担するだけでこの衣類を手に入れることができる。リサイクル商品のネット取引と似ている。しかも、不要になった衣類を出品したユーザーは、「Lablaco」のサイト内で使用できる「LablaCoin」を獲得できる。
 
また、ファッションブランドは売れ残った衣類のアップサイクル(そのまま再利用するのではなく、商品としての価値を高めるような加工を行うこと)を行うこともできる。あるいは、ファッション産業の関係者が、このプラットフォームを利用して試作品など不要な衣類を販売することもできる。このプラットフォームは、これらを統合することで商品の流通を多様にしている。
 
消費者がこのサイトで不要になった衣類をほかの人に提供する場合、こうした資料はすべて透明化されており、ファッションブランドがこれを分析することができるし、ユーザーが衣類の出所などをよく理解できるようになっている。
 
郭さんはもともとイタリア語と広告マーケティングを学んでいた。イタリアでMBAを取得したあと、ある有名ブランドのために商品を企画、調達する仕事をしていた。その過程で、消費の形態が変化していることに気が付いた。ファッション産業では新商品をリリースする周期が短くなり、ショーウィンドウに展示される衣類は2週間ごとに取り換えられていた。そこには多くの浪費が生まれていた。
 
郭さんはこうした現象を変えたいとの思いから、2016年に「Lablaco」を立ち上げた。試験期間だけで35カ国・地域、1万人以上がユーザー登録を行った。現在、同サイトはすでに正式に運用している。
 
「サーキュラーファッション」の理念を普及させるため、「Lablaco」は今年9月末、仏パリで初めて第1回「サーキュラーファッションサミット」を開催し、サーキュラーファッションやテクノロジー分野の関係者と経験及び知識を共有したばかりだ。

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