2024/05/02

Taiwan Today

政治

国立故宮博物院、『小時代の日常 十七世紀から見た生活への提案』特別展開催中

2019/10/07
国立故宮博物院が年に1度の大規模な特別展として『小時代的日常-一個十七世紀的生活提案(小時代の日常 十七世紀から見た生活への提案)』を開催している。(自由時報より)
国立故宮博物院が年に1度の大規模な特別展として『小時代的日常-一個十七世紀的生活提案(小時代の日常 十七世紀から見た生活への提案)』を開催している。かつての中国大陸・江南地帯における小資産階級や文芸青年の生活ぶりを伝える収蔵品を整理し、その精緻な工芸技術を紹介する。展示品は大きいものでは壁に掛ける書画、小さく精巧なものでは「端硯」(中国大陸広東省肇慶で作られたすずり)や「汝窯」(かつて中国大陸の河南省にあった青磁の窯、及びそこで焼かれた青磁)までと幅広い品々になるという。
 
国立故宮博物院の呉密察院長は、『小時代的日常-一個十七世紀的生活提案』というタイトルは長いが、実は17世紀の文人、文震亨の著した『長物志』が中心となっており、その内容に関連する日常の生活用品などを紹介することで当時の暮らしの美学を感じてもらいたいと話している。呉院長によると、「小時代」は、社会が激しく転換する時期で戦乱が頻発し、困窮や流浪の起きた「大時代」と比べて豊かだった。そのため「遊び心」が生まれ、さらには上品なセンスを楽しむ余裕もあった。「金はあっても品が無い」という時代ではなかったのである。
 
特別展は4つのコーナーに分かれている。「文震亨与長物志」(文震亨と長物志)コーナーでは価値ある古書や書画などを展示し、作者の生涯と交際ぶりを明らかにする。「文青品味」(文芸青年のセンス)コーナーでは古代の文人たちが生活器具を使っていた様子やそうした品々を評価した視点を紹介する。「可用之物」(使用するに堪える物)コーナーでは収蔵していた人物による標記の残る文物を紹介し、文震亨の提示した「鑑賞準則」に沿った展示とする。そして「百匯聚珍」(珍品大集合)コーナーでは、物流が徐々に発達したことで生まれた様々な品物で当時の暮らしぶりを感じてもらう。展示品には当時としてのレトロなデザインを再現したものや、新たなアイデア製品などが挙げられる。
 
国立故宮博物院器物処の余珮瑾処長は、今回の特別展は分震亨の視点から同博物院の収蔵品を見たもので、こだわったのは暮らしの中のセンスだと説明している。例えば文震亨の書物では、ブドウには2種類あり紫色のものが比較的おいしい、などと書かれている。また、筆を買うなら杭州(中国大陸・浙江省)へ買いに行くよう勧め、山のような形の古い玉は筆置きに出来るが珍しい玉なので普段は漆の塗られた箱に入れておき、友人が来た時に取り出して楽しむべきだと語っている。
 
こうした記述は暮らしの中の細やかな点を紹介しているようだが、同時に読者に対してこれらの品々をどのように使えばより美しくセンスある生活が実現できるかを指導しているようでもある。
 
『小時代的日常-一個十七世紀的生活提案』では国立故宮博物院の収蔵品のほか、国家図書館の収蔵する明の時代に出された『長物志』などの珍しい古書も借り受けて展示することになっており、古色蒼然とした展示会となる。同特別展は9月28日より来年2020年の1月5日まで。国立故宮博物院北部院区(台湾北部・台北市)第1展覧エリアで開かれている。
 
 

ランキング

新着