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仏コミックフェスティバル「Formula Bula」、台湾の発達障害男児が大賞

2019/10/08
仏コミックフェスティバル「Formula Bula」が実施した児童・青少年を対象にした自作コミックのコンペで、台湾の蕭辰洋くん(9歳)の絵本『My old transportation time』がグランプリを獲得した。(修徳国小提供、中央社)
仏Centre National du Fanzine d’Enfantと出版社のL’Artichoが主催するコミックフェスティバル「Formula Bula」はこのほど、児童・青少年を対象にした自作コミックのコンペを開催し、台湾の蕭辰洋くん(9歳)が描いた絵本『My old transportation time』がグランプリを獲得した。『My old transportation time』は蕭辰洋くんが公共交通機関や台湾の歴史建築物などを描き、一冊にまとめたもの。
 
蕭辰洋くんの父親で旅行作家の蕭裕奇さんによると、蕭辰洋くんは3歳のときに発達障害と診断された。蕭辰洋くんにとって絵を描くことは唯一集中できることであり、達成感を味わえる重要な行為だという。「3歳のとき、パパとママはぼくを専門の病院に連れていってくれた。医者は、ぼくの発達が遅いと言った。ママはそれを聞いて、悲しくて泣き出した」―蕭辰洋くんは過去に出版した最初の絵本の中で、こう書いている。
 
蕭裕奇さんによると、蕭辰洋くんは3歳になってもあまり話が出来ず、語彙も極めて少なかった。医師から診断を受けた後、蕭辰洋くんは治療を受けることになった。蕭辰洋くんは5歳になるまで、手で絵筆を握ることすら出来なかった。画用紙を前に、「挫折感があるのみで、なすすべがなかった」という。絵の世界にのめり込んでいったのは、その状況が改善された後だった。
 
生理的な発達は同じ年齢の子どもに比べると遅かったものの、絵を描き始めるようになってからというもの、蕭辰洋くんはあっという間に作品を生み出していった。蕭裕奇さんは、蕭辰洋くんが6歳になるころから作品を集めるようになり、それを一冊の本にまとめ、翌年には台湾で自費出版した。「デビュー」から3年近くが経ち、いまでは一定の「ファン」も生まれた。
 
蕭裕奇さんはフランス在住の友人の勧めもあり、今年に入ってフランスで開催された2つの絵画コンクールに蕭辰洋くんの作品を出した。そのうちの一つが「Formula Bula」の一環として行われたコンペで、このほどグランプリを獲得した。蕭辰洋くんがグランプリを獲得したのは、世界の4歳から17歳までの児童及び青少年を対象とした部門。台湾人がこの賞を獲得するのは初めてのことだった。
 
蕭裕奇さんは、フランスの審査員が蕭辰洋くんの作品の中に「台湾らしさ」を見出し、それを評価してくれたことに感謝しているという。『My old transportation time』は、台湾の公共交通機関を中心に、台湾の歴史と関わる古い建築物の数々を描いたもの。蕭辰洋くんは過去の作品の中で、かつて言語治療を受けていたときのことを、「パパとママがぼくを連れて授業に行くとき、ついでにぼくを、ぼくが好きなバスに乗せてくれた」と表現している。
 
蕭辰洋くんは鉄道ファンで、公共交通機関に乗ることが大好きなのだという。蕭辰洋くんの強い要望により、家族旅行に出かけるときは、一日中、公共交通機関に乗って車窓の風景を眺めることがあった。日本の東京に遊びに行ったときも、ほとんど電車に乗って過ごした。
 
蕭裕奇さんは、「息子は勉強で能力を発揮できないが、絵を描くことによって、人と違うことができるということを実感してもらいたい。父親としてできることは、彼が絵を描き続けられるようにするだけだ。彼の趣味を応援し、何か成し遂げられるよう応援したい」と述べている。
 

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