2024/05/06

Taiwan Today

政治

台湾史前文化博物館南科考古館、19日にグランドオープン

2019/10/16
台湾南部・台南市の台南科学園区(=台南サイエンスパーク)内で建設が進められていた台湾史前文化博物館(台湾南東部・台東県)の南科考古館が19日、グランドオープンする。台南科学園区の発掘調査で見つかった先史時代の遺跡の文物を展示する。(台南市提供、中央社)
台湾南部・台南市の台南科学園区(=台南サイエンスパーク)内で建設が進められていた台湾史前文化博物館(台湾南東部・台東県)の南科考古館が19日、ついにグランドオープンする。敷地面積は2.44ヘクタール。10年以上前から建設準備が進められていた。
 
台湾史前文化博物館の王長華館長によると、台湾史前文化博物館の展示品は台湾各地の先史時代の文化や遺跡が中心。一方、南科考古館は台南科学園区の発掘調査で見つかった先史時代の遺跡に関する文物を展示する。
 
王長華館長は15日、南科考古館の設計を手掛けた姚仁喜さんと共に、台湾北部・台北市で開かれた記者会見に出席した。姚仁喜さんは南科考古館の設計について、「掘り下げ、さかのぼり、交わる」をコンセプトに、時間と空間をからめ合わせるものだと説明した。
 
南科考古館の建築物は、角度19度の軸線が交わる構造になっている。これが象徴するものは二つあり、一つは考古学の方位で、もう一つは現代都市の経度と緯度の関係だという。軸線の交わりは、外壁の隙間や館内の展示動線にも見ることができる。さらに、南科考古館は台湾高速鉄道(=台湾新幹線)の線路からも近く、数分おきに車両が通り過ぎる。このため姚仁喜さんは館内に一本のガラス張りの通路を設計。通路を通り、地上から最も高いところまで達すると、目の前を通り過ぎる台湾高速鉄道を眺めることができる。
 
台南科学園区で発掘された遺跡は60近くに上る。出土品のシリアルナンバーはすでに800万~1,000万に達している。開館後はまず500点余りの出土品を展示する。そのうち、目玉となる展示品は10点。例えば、蔦松文化に属する道爺遺跡から出土した、いまから1,800~1,300年前のものと見られる「人面土偶」。その顔立ちは鼻筋が通り、輪郭も整っている。背面には結った髪の毛のようなものも見られ、当時の住民の様相を表現したものと思われる。
 
5,000~4,300年前のものと思われる、大坌坑文化の南関里東遺跡から出土した「炭化米」もそのうちの一つだ。これはおそらく台湾で出土したものとしては最も古い年代の、人類の手で栽培されたコメと見られている。これは同時に、先史時代の台湾の住民が原始的な採集や狩猟だけにとどまらず、5,000年前にはすでに稲作の方法を知っていたことを意味している。
 
2,800~2,100年前のものと思われる管玉(くだたま)の首飾りは、直径0.3㎝足らずの穴があけられたもので、製作者の高い工芸技術をうかがい知ることができる。5,000~4,300年前の魚の「耳石(じせき)」は大坌坑文化の大昌橋遺跡から出土したもの。魚の頭の中にある耳石という軟骨は、アラゴナイトの結晶体である。耳石の上には樹木の年輪のように、細い線の輪が何本も見える。これは、その魚の年齢や、生息していた生活環境の情報などを詳しく記録したもので、魚類にとっての「スマート身分証」と言うことができる。
 
南科考古館は今月19日(土)にオープンする。当日は入館無料となる。
 

ランキング

新着