2024/05/01

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マレーシアの辛栄安さん、金馬奨ノミネートで東南アジア音楽の魅力伝える

2019/10/17
台湾映画界最大の賞である今年の金馬奨(ゴールデン・ホース・アワード)は、中国の映画業界がボイコットを表明する中、シンガポールやマレーシアの映画業界の作品の台頭が目立つ。写真はマレーシア映画『夕霧花園(The Garden of Evening Mists)』で最佳原創電影音楽(=最優秀オリジナル映画音楽賞)にノミネートされたマレーシアの音楽家、辛栄安(Onn San)さん。映画を通して東南アジア音楽の魅力を伝える。(中央社)
台湾映画界最大の賞である今年の金馬奨(ゴールデン・ホース・アワード)は、中国の映画業界がボイコットを表明する中、シンガポールやマレーシアの映画業界の作品の台頭が目立っている。マレーシア映画『夕霧花園(The Garden of Evening Mists)』で最佳原創電影音楽(=最優秀オリジナル映画音楽賞)にノミネートされたマレーシアの音楽家、辛栄安(Onn San)さんは、映画を通して東南アジア音楽の魅力を伝えている。
 
映画『夕霧花園』は、台湾の映画監督である林書宇(トム・リン)さんの4つ目の作品。マレーシア出身の女優である李心潔(アンジェリカ・リー)さん、台湾の張艾嘉(シルヴィア・チャン)さん、日本の阿部寛さんが主演を務める。今年11月23日に授賞式が行われる「金馬奨」では、9部門にノミネートされているほか、「台北金馬影展(ゴールデン・ホース・フィルムフェスティバル)」のクロージング作品にも選ばれている。また、このほど開催された第24回プサン国際映画祭でも、「アジア映画の窓部門」にノミネートされた。
 
『夕霧花園』はマレーシアの作家、陳団英(Tan Twan Eng)さんの同名小説を原作とする。陳団英さんは海外の文学賞を多数受賞しており、2012年には「マン・アジア文学賞(Man Asian Literary Prize)」を受賞。マレーシアで初めて、アジア最高権威とされる「マン・アジア文学賞」を受賞した作家となった。また、2013年には歴史小説に対して贈られる英国最大級の権威ある賞「ウォルター・スコット賞」も受賞した。
 
映画音楽の製作を担当するのは、この道に入って4年になる辛栄安さんだ。辛栄安さんは、「ノミネートされたことを知り、とても興奮している。金馬奨の映画音楽部門でマレーシア人がノミネートされたのはこれが初めてであり、しかも尊敬する坂本龍一さんと並んでノミネートされたことは大変光栄なこと」とコメントしている。
 
『夕霧花園』のロケは、大部分がマレーシアで行われた。林書宇監督は、映画製作をスムーズに行うため、マレーシア人スタッフを中心に撮影スタッフを構成することを決めた。林書宇監督はクランクインの3か月前から、辛栄安さんに映画製作のコンセプトや流れなどを説明し、何度も話し合いを行う中で、作品のスタイルを固めていった。辛栄安さんと林監督は、互いに意見をぶつけ合い、半年の歳月をかけてついに映画音楽を完成させた。
 
辛栄安さんによると、これまでは映画の撮影が終わってから、監督から一部のシーンを提供され、音楽を製作するのがほとんどだった。しかし、今作品では辛栄安さんが脚本の章や節から想像を膨らませてすべての音楽を製作し、それを監督に提供し、監督が音楽のイメージを根拠に撮影するというスタイルが採られた。カメラ割りやカットのリズムが確定してから、辛栄安さんが音楽のスピードやリズム感を微調整した。こうした互いの協力により、『夕霧花園』は技術的にも完成度の高い作品となり、金馬奨の9部門でノミネートされることとなった。
 
辛栄安さんは現在35歳。大学ではクラシック音楽を専攻。その後、米ニューヨーク大学(NYU)音楽学部で修士号を取得した。音楽を手掛けた映画の中では、張艾嘉さんが出演したマレーシア映画『Shuttle Life』が2年前に金馬奨にノミネートされたことがある。また、マレーシアのキャメロニアン・アーツアワードには、過去5回ノミネートされている。
 

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