2024/05/20

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高校生グループが発見した小惑星、「燭龍」と命名される

2019/11/06
国立中央大学(台湾北部・桃園市)は5日、国立中興大学附属高級中学(=高校。台湾中部・台中市)の生徒たちが2014年に発見した小惑星を「燭龍」と命名すると発表した。「燭龍」とは古代中国の地理書『山海経』に記載されている赤い蛇の胴体に人間の頭部を持つ神のこと。後列左は生徒たちを指導した教員の林士超さん。(国立中興大学附属高級中学提供、中央社)
国立中央大学(台湾北部・桃園市)は5日、国立中興大学附属高級中学(=高校。台湾中部・台中市)の生徒たちが2014年に発見した小惑星を「燭龍(2014 GE45 = 472235 Zhulong “Torch Dragon”) 」と命名すると発表した。「燭龍」とは古代中国の地理書『山海経』に記載されている赤い蛇の胴体に人間の頭部を持つ神のこと。「燭龍」が目を開くと昼に、閉じると夜が訪れ、息を吐くと冬に、息を吸うと夏になると伝えられている。また、口から吐く火炎で、暗闇を照らすことができると言われている。
 
地球に衝突する恐れがある天体を発見する国際プロジェクト「パンスターズ (Pan-STARRS, Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System)」に参加する国立中央大学は、台湾の生徒や学生に広く呼び掛け、この計画で撮影した観測画像を利用して未知の天体を探し出すというイベントを実施した。これに参加した国立中興大学附属高級中学の生徒たちが2014年、海王星より遥か遠く離れた場所に、直径約200㎞の小惑星を1つ見つけた。太陽からの平均距離は56天文単位(つまり地球と太陽の距離の56倍)であり、冥王星よりまだ遠い場所にあるものだった。
 
これは、世界で初めて高校生が発見した、海王星以遠の太陽系天体であることが判明。また、火星と木星の間にある一般の小惑星とも違うことが分かった。国際天文学連合(IAU)は非常に長い時間をかけて議論し、命名規則を決定。2018年になってようやく、この小惑星に永久番号を与えた。国立中興大学附属高級中学の天体観測チームはこのほど、生徒たちによる投票を実施し、この小惑星を「燭龍」と命名することを決めた。ちなみに、当時「パンスターズ」に参加していた生徒たちはすでに卒業し、現在は大学生活を送っている。
 
国立中興大学附属高級中学の教員、林士超さんによると、「燭龍」の発見当時、その位置の変化がとても遅かったことから、地球に直接向かって動いている可能性が指摘され、「地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)」であると誤った判断がなされていた。しかし、その後も観測を続けた結果、これが冥王星の軌道から遥か遠い場所にある太陽系の天体であることが証明された。
 
国立中央大学天文及天文物理研究所の陳文屏教授は、「『燭龍』の発見はとても幸運なものだった。しかし、幸運が落ちてくるときに、それをキャッチできるのは、それまで十分に準備していた人だけだ。今年10月から11月まで、台湾では30校余りで、生徒100名以上が参加して小惑星を探す活動を行うが、さらに多くの発見があることを期待している」と語っている。

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