国際造園家連盟(IFLA)のアジアパシフィック支部は8日、フィリピンでランドスケープ・アーキテクチャー賞(LA AWARD2019)授賞式を開催した。今年、同支部からは、台湾の他、日本、韓国、中国大陸、オーストラリアなど14か国・地域のメンバーから174件の応募があった。
台湾からは、交通部(日本の国交省に類似)公路総局が手がけている台湾北東部・宜蘭県と台湾東部・花蓮県を南北に結ぶ省道「台9線」の花東縦谷区間整備計画が、同コンテスト初参加で、Analysis and Master Planning部門の優秀賞(Award of Excellence)を受賞した。
公路総局は、2017年から台9線における花蓮区間の拡張計画に取り組んできた。従来の工事方法ではなく、まず景観計画を採用し、景観、生態系、交通管理、安全に関する専門家や学者による「景観コンサルタントチーム」を結成した。また、現地調査や研究会議を開くと共に、近隣住民との意見交換ができるワークショップも開催し、専門家だけでなく市民からの意見にも耳を傾けている。
この計画では、緑あふれる道路をモットーに「木の道」を再現、3,000本以上の喬木をそのまま残し、広々とした道と樹木の保護という2大目標をかなえた。一方、安全面においては、従来の段差のある縁石ではなく、グリーンゾーンにはすべて縁石のない草生帯を採用し、一般的な道路のようなコンクリート舗装を大幅に減らした。
そのほか、台湾北部・台北市の公園4カ所がそれぞれ異なる部門で受賞した。大安森林公園のフライホイールによる水循環システムがコミュニティ部門(Communities Category)最優秀賞(Outstanding Award)、台北行旅広場がCultural & Urban Landscape部門、大港墘公園がParks & Open Space部門、東和及天和公園がNature Conservation部門でそれぞれ特別賞(Honorable Mention)を受賞した。
最優秀賞に選ばれた大安森林公園のフライホイールは、当初、フィットネスジムの概念から生まれたものだ。そこから、環境との共存を思いつき、フライホイールをこぐことで地下水を充満させることができる、水循環システムとなった。
一方、東和及天和公園では、一部に生態工学に基づいた建築方法が採用されている。また水性植物を植えることで、植生密度や明るさの改善に努めている。さらに自然の地形を生かした高架道路を設置し、公園スペースを一体化させた台北市で初めて木くずを敷設した公園でもある。
国際造園家連盟は、世界の造園家・ランドスケープアーキテクトが集結する組織で、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)から認定を受けた世界規模の専門家集団。米国、アフリカ、アジア・太平洋、欧州、中東の5地域に分け、それぞれ支部が設置されている。毎年定期的に、世界会議および地区会議が開催され、台湾はアジアパシフィック支部に属する14か国・地域メンバーの一員となっている。