2024/05/05

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国立成功大学、合成生物学の世界大会iGEMで優勝

2019/11/14
国立成功大学(台湾南部・台南市)の学生らが結成したチーム(写真)が、米ボストンで開催された合成生物学の世界大会「iGEM」に出場し、Undergraduate(学部生)部門で見事優勝した。台湾のチームは10数年前からiGEMに出場しているが、優勝は初めて。(成功大学サイトより)
国立成功大学(台湾南部・台南市)の学生らが結成したチームが、米ボストンで開催された合成生物学の世界大会「iGEM(International Genetically Enginnered Machine Competition)」に出場し、Undergraduate(学部生)部門で見事優勝した。台湾のチームは10数年前からiGEMに出場しているが、優勝は初めて。
 
成功大学のチームは今回、徐々に進行する慢性腎臓病(CKD)を取り上げ、患者の体内に尿の有害物質が蓄積するという問題に新たな治療方法を提示した。「Oh My Gut」と名付けたこの方法は、出場した346チームの中で見事優勝を果たした。成功大学の蘇慧貞校長(=学長)は「1万人近い出場者と、世界へ向けた中継が行われる中、我々の能力が唯一無二で、正真正銘の本物であることが証明された」と喜びのコメントを発表。参加した学生たちも、喜びを表現すると同時に、大学が「研究に打ち込む学生にとって、最大の支持者」であったことに感謝した。
 
成功大学は総合成績で優勝したほか、10分野でノミネートされ、そのうち5つの賞を獲得した。内訳は「Best Therapeutics Project」、「Best Presentation」、「Best Hardware」、「Best Model」、「Best Measurement」の5つ。
 
iGEMは合成生物学の世界大会。合成生物学と遺伝子工学を、電機、情報、医学、工学、物理などの分野の専門知識と結びつけ、人々が直面する重大な課題と問題の解決に役立てる。今年の課題は合計11種類あり、参加チームは高校生部門が47チーム、学部生部門が200チーム近く、大学院生部門が100チーム近くとなった。成功大学のチームは今年10月29日から11月8日まで米ボストンで開催されたiGEMに出場した。同大学は過去3年連続でiGEMに出場し、大きな賞を獲得している。
 
成功大学のチームは今年、「脱出ゲーム」をコンセプトに、全く新しい方法で研究の成果を表現した。大腸菌Nissle 1917株を使い、合成生物学によって作り出したCreSolveで、体内におけるp-クレゾール( p-Cresol)の蓄積を緩和する。また、CreSenseというデバイスを使って血清と血漿を分離させ、緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光強度を利用して、その中にある化学残留物質を分析し、血液中のp-Cresol濃度を測定する。「CreSolution」と名付けたこのコンセプトで、慢性腎臓病で悩む患者の生活の質を向上させるのが狙いだ。
 
iGEMは2003年、米マサチューセッツ工科大学で始まった。世界各地から生物学を愛する学生たちが集まり、生物学的デバイスの設計と遺伝子工学を結びつけ、実在するさまざまな問題を解決するために知恵を絞る。合成生物学、医学、エネルギー、情報工学、それに社会参与を結びつけた超領域型のコンテストだ。「学科の領域を越えた研究や協力を促進し、工学的手段により標準化したBioBrick (バイオブリック)を作り出し、これらを利用してさまざまな実用価値のある微生物遺伝体を作り、社会問題を解決する」ことを大会目的に掲げている。過去に『Nature』など権威ある科学雑誌で報道されたこともあり、毎年30カ国以上からチームが参加している。
 

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