2024/04/30

Taiwan Today

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台湾の年越し料理から生物多様性を議論、国立台湾博物館のプロジェクトが環境教育で受賞

2019/11/14
行政院環境保護署の環境教育成果共有会で、国立台湾博物館が人々に責任ある消費行動を働きかけた「持続可能な年越し料理プロジェクト」が「好成績団体賞」を受賞した。写真は共有会で同博物館がプロジェクトを紹介したブースのもよう。(文化部サイトより)
行政院環境保護署(日本の環境省に相当)の環境保護人員訓練所による「環境教育成果共有会」が12日午後、台北市(台湾北部)の花博公園(TAIPEI EXPO PARK)で行われ、国立台湾博物館(台北市)による「永続年夜飯計画」(持続可能な年越し料理プロジェクト)が「Call for Action好成績団体賞」を獲得した。今年の同共有会は、「Get BETTER 一歩歩更美好」(一歩一歩より素晴らしい世界を)がテーマ。
 
国立台湾博物館の「持続可能な年越し料理プロジェクト」は「持続可能性」の精神を強調、今年はさらに食品ロス問題も取り上げたほか、参加対象を拡大して人々が伝統的な節句や日常生活の中で責任ある消費行動をとるよう働きかけた。この取り組みは審査員全員から支持され、政府の補助を受けた19の団体の中から今年の受賞対象に選ばれた。
 
国立台湾博物館はこのプロジェクトの中で、ターゲットとする様々な人たちに対し、「多分野フォーラム」、「年夜飯(年越し料理)発表会」、「持続可能な年越し料理博覧会」などの実際の活動のほか、インターネット上では「あなたの年越し料理を見せて」、「年越し料理のレトロな写真の募集」といったイベントを実施して人々に持続可能なライフスタイルを実践するよう呼びかけた。
 
「持続可能な年越し料理プロジェクト」では生物の多様性とその保護活動を環境教育、持続可能な教育と結び付けている。これは台湾が節句の祝賀活動を持続可能なものとするための新たな取り組みであり、さらには世界の博物館コミュニティが環境変化の問題に向き合う際の実践例となりうる。
 
国立台湾博物館では今年の旧正月期間中、同プロジェクトに30の団体を招き、延べ800人以上が実際の活動に参加した。同博物館では台湾のクジラやイルカの鳴き声を会場に流したほか、季刊の「台湾博物」で持続可能な飲食の特集記事や「持続可能な年越し料理レシピ」などを掲載、また食品ロス問題や昆虫を使った料理体験に関する記述も新たに増やした。集まった人のうち6割以上が「持続可能な年越し料理」活動への参加は初めてだったが、約4割の人が年越し料理を決めたり作ったりしているとのことで、このプロジェクトは人々の年越し料理の内容に直接影響を与えることが出来ると考えられる。
 
国立台湾博物館は台湾最古の博物館。研究及び教育活動の上で現代の課題に対応しているほか、世界の博物館コミュニティとの議論にも積極的に参加している。2015年に開催した、国際博物館会議自然史系博物館委員会の年次総会(ICOM NATHIST 2015 Taiwan Conference)では「台北宣言」を発表し、自然史系博物館のコミュニティが生物の多様性を守っていく決意を表明した。今年、日本の京都で国際博物館会議京都大会(ICOM Kyoto 2019)が行われてから、国立台湾博物館は自然史系博物館委員会の理事会で2議席を獲得。また、同年次総会でも「持続可能な年越し料理プロジェクト」に関する成果を発表し、各国で自然史系博物館に携わる人たちの熱い議論を巻き起こしている。
 
 

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