2024/05/08

Taiwan Today

政治

戦闘機の国際会議、台湾の武官が制服で講演

2019/11/18
戦闘機に関する国際会議である2019年「International Fighter Conference」が14日、独ベルリンで行われ、台北駐英国代表処の駐在武官である袁力強上校が軍の制服を着用して講演を行った。(英Defence IQ提供、中央社)
戦闘機に関する国際会議である2019年「International Fighter Conference」が14日、独ベルリンで行われ、台北駐英国代表処(英国における中華民国大使館に相当)の駐在武官である袁力強上校(=大佐に相当)が軍の制服を着用して講演を行った。
 
この会議には米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、北大西洋条約機構(NATO)、タイ、マレーシア、フィリピンなど30カ国近くの空軍関係者が参加した。また、航空宇宙機器開発製造会社であるロッキード・マーティン社、エアバス社、レイセオン社、サーブ社など国防産業を担う企業の関係者も参加し、未来の戦闘機に関する技術、発展、課題等について話し合った。
 
袁力強上校は中華民国(台湾)空軍における近年の戦闘機導入の状況や、台湾の全体的な防衛構想をテーマに講演を行った。この会議では、アジェンダに中華民国の国旗が印刷されたほか、講演者も軍の制服を着用して講演を行うことが認められた。外交上、さまざまな制約を受けることの多い台湾にとって、国際的な軍事会議においてこうした待遇を受けるのは非常に珍しいこと。
 
袁力強上校は、台湾の防衛構想である「防衛固守、重層嚇阻(=断固とした防衛と重層的な抑止)」をもとに、いかにして「Overall Defence Concept(=全体的な防衛コンセプト)」によって「戦力防護、浜海決勝、灘岸殲敵(=戦力による防護、沿岸での敵艦艇の撃破、海岸での敵兵上陸阻止)」という目標を達成するかを説明した。また、このために国防部(日本の防衛省に相当)が現在、最先端の防衛システムの購入、軍備の自主開発能力の向上、十分な装備の確保、そして陸海空軍の合同作戦能力の強化に重点を置いていることを伝えた。
 
袁力強上校はまた、武器の獲得、メンテナンス、改良訓練の時間、価格などを考慮した結果、空軍の戦力の不足を効果的に補うには米国から最新型の戦闘機「F-16V」を購入することが現在最善の方法であると判断したと指摘。空軍は現役の戦闘機「F-16A/B」144機をすべて「F-16V」へ改修するプロジェクト「鳳展案」を実施しており、台湾の漢翔航空工業とロッキード・マーティン社がこれを請負っていること、漢翔航空工業はスケジュール通り、戦闘機「F-16」の改修を終える見通しであることなどを説明した。
 
空軍が保有する戦闘機「F-16A/B」がすべて改修され、米国からの「F-16V」66機の納入が完了すると、中華民国空軍が保有する戦闘機「F-16V」は200機を超え、世界最大の「F-16V」戦闘機部隊を持つことになる。漢翔航空工業はすでに、ロッキード・マーティン社からアジア太平洋地域における「F-16V」メンテナンスセンターを設置する約束を取り付けており、これが実現すれば台湾の戦闘機メンテナンスの規模がさらに拡大することになる。
 
袁力強上校によると、漢翔航空工業は同時に高等練習機「勇鷹」66機の開発にも力を入れており、今年9月24日にその初号機が公開された。初飛行は2020年6月を予定している。漢翔航空工業の専門技術の向上は、台湾の航空宇宙産業がすでに技術、産業クラスタ、人材の3方面において大きく進歩していることを証明するもの。
 
また、この会議の議長を務めた元欧州米空軍司令官のフランク・ゴレンク大将とドイツの元空軍総監であるクラウス=ペーター・スティーグリッツ中将は、西洋諸国では長期的に平和な状態が続いており、台湾のように大きな軍事的脅威に随時さらされているわけではないが、中華民国空軍の領海・領空防衛の経験は各国が学ぶに値するものだと述べた。
 
なお、この会議には、台湾からほかに創未来科技股份有限公司(TRON FUTURE TECH)の王毓駒董事長(=会長)が出席し、「AESA (アクテイブ・エレクトロニク・スキャンド・アレイ)」レーダー技術に関する講演を行った。王毓駒董事長は、台湾が米国から購入した戦闘機「F-16V」はいずれもAPG-83(AESA)レーダーを搭載していることから、台湾の民間企業もAESAレーダーの開発・製造能力を有することができるようになったとし、軍備の自主開発と国防産業のレベルアップを目指す台湾にとって大きなメリットをもたらしていると述べた。
 

ランキング

新着