2024/05/08

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政治

「台湾の音楽世界に届けた」、文化部長が上揚唱片の創業者・張碧女史偲ぶ

2019/11/19
台湾の音楽を世界に送り出したレコード会社、上揚唱片の創業者である張碧女史(左)が18日に死去。文化部の鄭麗君部長は知らせを受けると深い哀悼の意を表した。右は夫の林敏三氏。(文化部サイトより)
台湾のレコード会社、上揚唱片の創業者である張碧女史が18日に死去。文化部(日本の省レベル)の鄭麗君部長(大臣)は知らせを受けると深い哀悼の意を表した。1967年創業の上揚唱片は台湾で最初の国際的なレコード会社で、台湾における芸術音楽を世に送り出す重要な役割を担った。また、早くからドイツ・グラモフォン(DGG)、フィリップス・レコード、コロムビア・レコードなど世界の主な大手レコードレーベルのライセンスを受け、台湾に世界の優れたレコードを数多く紹介した。過去に擁した世界トップレベルのインディペンデント系レコードレーベルは20を超える。
 
1980年代、上揚唱片は張碧女史による変革の下、台湾の作曲家のアルバム制作に乗り出した。こうしたアルバムには作曲家の江文也氏がオリンピックの芸術競技・音楽種目で賞を受けた作品『台湾舞曲』、そして馬水龍氏の代表作『梆笛協奏曲』、『廖添丁管弦楽組曲』などが挙げられる。
 
また、上揚唱片はそれまでの400年にわたる台湾の歌に関する資料を系統立てて整理した。鄧雨賢、楊三郎、陳達儒、周添旺らが手がけた台湾の古典とも言える民謡やオリジナル楽曲などもその対象。そしてさらにこうした楽曲を力強い交響曲に編曲し、管弦楽団が伴奏を行う台湾の民謡アルバムをシリーズ作品として世に送り出した。楽譜の出版にも力を入れたことで、台湾で生まれた音楽は全く新しい生命力を得ることとなった。また、学校や政府機関、団体などが文化教育を行う際にはこうした楽譜が重要な参考資料になったという。
 
近年、上揚唱片では一連の「台湾新勢力」アルバムをリリース。台湾の優秀な若手音楽家を発掘し、クラシック、ジャズ、ポップスなどのアーティストに作品発表の機会と舞台を提供している。さらに海外のレコード会社と力を合わせ、台湾の優れた音楽作品を海外でもリリースし、台湾の音楽が全世界で耳に出来るようにしている。
 
2015年に行われた第26回伝芸金曲奨(Golden Melody Awards for Traditional Arts and Music)では、台湾の音楽に対する上揚唱片の功績、そしてその発揚への努力に感謝するため、上揚唱片の創業者である張碧女史と夫の林敏三氏に「出版類特別奨(賞)」を贈り、台湾の音楽に対する2人のこだわりと貢献に敬意を表した。
 
 

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