2024/04/29

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林書宇監督、夭折した台湾出身の華僑ラッパーの人生を映画化

2019/11/19
台湾生まれで14歳から渡米、23歳という若さで骨腫瘍のため亡くなったラッパー、宋岳庭(Shawn)さん(左)。映画監督の林書宇氏(右)がその人生を映画化することになり注目が集まっている。(威視電影提供、中央社)
映画監督の林書宇氏が台湾のラッパー(ラップで歌う歌手)、故・宋岳庭(Shawn)さんの人生を映画化することになり注目を集めている。宋岳庭さんは台湾で1978年に生まれた。青春時代に米国に送られて留学したが、2002年に骨腫瘍が原因で死去。23歳だった。亡くなったあと、遺族が整理した遺品の中から宋岳庭さんが録音したオリジナルの音楽作品が見つかり、遺族たちはそれをアルバム『Life's a Struggle』にまとめて台湾で発表、作品は高く評価され、2004年に行われた第15回ゴールデンメロディ・アワード(金曲奨)で「流行音楽類最優秀作詞家賞」を受賞した。収録曲のうちアルバムのタイトルにもなった『Life's a Struggle』は自伝的な作品で、宋さんが14歳から米国で弟と2人、助け合いながら暮らした生活が歌われている。
 
宋岳庭さんの伝記映画は1990年代の米ロサンゼルスが舞台となっており、物語は1994年の設定。1992年に起きたロサンゼルス暴動のわずか2年後で、当時ロサンゼルスでは人種差別が激しかったほか、暴力団が我が物顔で暴れまわっており、アジア系、アフリカ系、ヒスパニック系のグループがそれぞれのエリアを取り仕切っていた。宋岳庭さんの人生は当時の時代背景と密接に関係している。こうした時代背景こそが、ひと時の安らぎを求めた宋さんを米国式のヒップホップへと向かわせ、さらには中国語ラップの先駆者へと導いたのだという。宋岳庭さんの物語は、ロサンゼルスにおけるアジア系米国人、そして国籍問題や学歴問題のため子どものときから海外に送られる「小留学生」の真実の姿を伝えている。
 
林書宇監督によると、アジア系の人たちの文化が主要メディアの注目を集めつつあるのはそうした人たちが長年奮闘してきた成果。林監督は、「ヒップホップ音楽も今では世界の主要な音楽ジャンルとなっており、このタイミングで映画化することで宋岳庭さんの物語がアジア系映像作品に対する注目度アップに貢献するといい。また、1人でも多くの人に宋岳庭さんと彼の人生について知ってほしい」と話している。
 
 

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