2024/05/05

Taiwan Today

政治

第3レベルの感染状況指揮センター設置で新型肺炎対策を強化

2020/01/21
中国大陸・武漢で発生した新型肺炎が広がっていることを受け、中華民国政府は20日、第3レベルの「厳重特殊感染性肺炎中央感染状況指揮センター」を設置して対策強化に乗り出した。写真は20日、衛生福利部疾病管制署での記者会見のもよう。武漢に限らず、中国大陸への渡航歴があり、肺炎の症状がある人は全て通報対象にすると発表した。(中央社)
中国大陸の武漢で発生した新型肺炎が拡大している。衛生福利部(日本の厚労省に類似)疾病管制署の周志浩署長は20日、感染拡大の形跡があるほか、複数の国で感染者が確認されるなどコミュニティ内で拡散している疑いがあり、台湾への脅威が強まっているとの見方を示した。このため衛生福利部は行政院(内閣)に「中央流行疫情指揮中心」の設置を求め、行政院は同日午後に第3レベルの「中央流行疫情指揮中心」設置に同意した。これを受けて疾病管制署は同日、「厳重特殊伝染性肺炎中央流行疫情指揮中心」(厳重特殊伝染性肺炎中央感染状況指揮センター。以下、中央感染状況指揮センター)の設置を宣言した。
 
中央感染状況指揮センターは3つのレベルに分けられる。第3レベルの設置条件は、海外で深刻な感染状況が発生している上、コミュニティ内での明らかな拡散、そして感染拡大の恐れがあること。第2レベルは海外で感染した人が台湾で見つかること。第1レベルは台湾での感染例が確認されること。
 
台湾で現在備蓄されている外科で使用するマスクは4,400万個、N95マスクも190万個あるなど物資は十分確保されているほか、中央感染状況指揮センターでも常に備蓄量を把握することにしている。また、最速で22日には契約済みの病院5カ所で新型コロナウイルスの検査ツールがそろう。陰圧室(空気感染隔離室)についても、「対応病院」9カ所に合計104床、「非対応病院」に合計924床が確保されている。
 
中国大陸から台湾に戻った人で肺炎の症状がある場合、診察した医師は衛生機関(疾病管制署など)に通報の上、患者を隔離することが出来る。また、中国大陸、香港、マカオから台湾にやって来る旅客機全てで新型肺炎について解説した指導文書を旅客に配布する。台湾の人で帰台後、新型肺炎に類似した症状があった場合は病院で診察を受ける際、旅行経路や人・動物との接触状況を進んで申告せねばならず、事実どおりの報告をしなかったならば伝染病防治法第69条に基づき、1万台湾元(約3万6,200日本円)から15万台湾元(約54万3,000日本円)の罰金が科される。
 
現在、この新型肺炎の感染例は世界で205例。そのうち中国大陸が201例で、感染はすでに武漢から北京や広東へと広がっている。タイ、日本、韓国でも感染者が確認されている。
 
今回の対応では専門家が武漢に限らず、中国大陸への渡航歴がある人で肺炎に罹っている場合は全て通報の対象とするよう求めた提案を採用、監視の範囲を広げ、感染が疑われるケースを少しでも早く見つけられるようにした。また、中国大陸、香港、マカオから台湾にやってくる旅客機では旅客に感染症について知らせる「海外での感染症に関する警告・健康状態の自発的な申告」文書を配布し、感染が疑われる症状がある場合の対処方法を指導することにした。
 
台湾感染症医学会の黄立民理事長は疾病管制署の開いた専門家会議後、ウイルスを持つ人が台湾にやって来ることが考えられ、旧正月の間に台湾で感染例が見つかる可能性は高いと指摘した。黄理事長はしかし、「病人が戻ってくることを恐れることはない」と述べ、診断して隔離が出来たならば大きな問題にはならないとの見方を示している。
 
 

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