2024/05/02

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政治

武漢から帰台の台湾女性が新型肺炎、中国大陸籍以外の初の感染者に

2020/01/22
中国大陸の武漢から帰台した女性が新型肺炎に罹っていることがわかり、台湾初の感染者に。中央感染状況指揮センターは、武漢への必要の無い渡航は見合わせるよう呼びかけた。写真は空港でのもの。侵入を阻止する水際対策も強化されている。(中央社)
中国大陸・武漢から広がる新型肺炎に対抗するため設置された「厳重特殊伝染性肺炎中央流行疫情指揮中心」(厳重特殊伝染性肺炎中央感染状況指揮センター)が21日夜、台湾で初めて感染者が発見されたと発表した。武漢で感染したと見られる。この感染者は台湾南部在住の55歳の女性で、普段は武漢で働いている。20日夜に武漢から旅客機で帰台した際、発熱やせき、呼吸困難などの症状があることを自ら検疫スタッフに申告、21日に検査を行った結果、感染が確認された。
 
衛生福利部(日本の厚労省に類似)疾病管制署の荘人祥副署長によると、台湾の人が海外で感染し、台湾に戻って来てから確認されたのであり、中国大陸籍以外では世界初の感染者だという。
 
疾病管制署の感染症専門医、黄婉婷さんによれば、この感染者は旅客機搭乗時に症状が見つかり、機内にいる間はほぼ全て自発的にマスクを着用していた。コロナウイルスの感染力と感染経路から判断して、濃厚な接触者は座席5列の乗客と乗務員の46名に限られる。内訳は乗務員12名、乗客34名で、全員が向こう14日間、経過観察の対象となる。
 
台湾で感染者が見つかったことから、中央感染状況指揮センターは武漢への渡航に関する警告を第3レベルに引き上げ、必要が無い場合は渡航を控えるよう呼びかけた。
 
世界保健機関(WHO)は、新型のコロナウイルスは人から人に感染する可能性があるとしている。中央感染状況指揮センターは、同ウイルスによる肺炎ではコミュニティでの拡散、ならびに感染拡大の明らかな状況が認められるとし、今後も各省庁の資源とマンパワーを統合して、国際空港のほか、中国大陸との船舶による限定的な直接通航(「小三通」)が行われている港での検疫措置を強化していく考え。
 
感染症対策の専門家で、過去にSARS(重症急性呼吸器症候群)対策に参加した経験を持つ中央研究院生物医学科学研究所の何美郷兼任研究員は21日、今回台湾で見つかった感染者について、「明確な接触歴が無くとも感染する」ことを示しており、これは警戒すべき重大な情報だと述べている。何さんは、この感染者は市場での接触歴が無く、身内にも感染者はいなかったと指摘、濃厚に接触した感染源が確認できないわけであり、どうして感染したかが非常に重要だとしている。何美郷さんはまた、中国大陸側が感染症対策の専門家を必要とするならば協力する用意があると述べた。一方、感染症の専門家である黄高彬さんは、パニックになる必要は無いとして、自身の健康管理に努めるよう呼びかけた。
 
今回台湾で見つかった感染者は、1月11日にせきやのどの痛み、体のだるさなどを感じるようになったが、武漢の市場に行ったことは無く、家禽類に接したり、野生動物を使った料理を食べたりすることも無かった。症状を感じるようになって9日目の1月20日夜に武漢から台湾桃園国際空港に戻ったが、機内では食事のとき以外、ほぼずっとマスクを着用していたという。
 
疾病管制署の荘人祥副署長によると、世界保健機関は22日に緊急委員会を開くことにしており、疾病管制署はその結果に基づいて防疫への取り組みを調整していく。
 
台湾で初めて感染者が発見されたことを受け、蔡英文総統は22日朝、国民が憂慮する台湾における感染拡大の可能性に言及、「我々はそれに対処している」と述べて、感染の拡大防止に自信を示した。交通部(日本の国交省に類似)は渡航に関する警告レベルを引き上げ、国内の旅行業者に対して武漢行き団体旅行の出発を全て一時見合わせるよう要求、また、武漢からの団体旅行の受け入れもしばらく停止した。
 
 

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