ベテラン俳優の小戽斗(本名:欧蔵喜)さんが2日夜8時36分に新北市新店区(台湾北部)の台北慈済医院(病院)で亡くなった。享年72歳。小戽斗さんは1947年に台湾南部・台南市で生まれた。18歳のときに台南市の「勝利之聲廣播電台」(勝利の声ラジオ放送局)に入局、閩南語(台湾語)の放送劇で俳優を務めた。1965年に台南国光影業公司の映画俳優として採用されると、台湾語映画の監督だった何基明氏に気に入られて役者として育てられ、1966年には台湾北部・台北市での活動を開始した。小戽斗という芸名を使い出したのは南国電影公司による『鬼美人』(1969)に出演したときから。
1970年代には中国電視公司(中国テレビ)に加わってテレビ界にも進出。その後は様々な大手テレビ局で閩南語テレビドラマの俳優として数多くの作品に出演した。近年の作品には『戯説台湾』、『雨夜花』、『牡丹花開』などがある。
小戽斗さんは俳優として活躍しながら裏方としても様々な実績を残した。映画『嫁妝一牛車』(1984)で副監督を務めたほか、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の『戯夢人生』(1993)ではキャスティングディレクターを担当した。また、テレビドラマの『雨夜花』、『紫色大稲埕』ではことばの指導を行った。
2000年と2010年にはそれぞれテレビドラマ『阿爸』と『再見夏天』で第35回ゴールデンベル・アワード(金鐘奨)のドラマ部門主演男優賞、第45回ゴールデンベル・アワードのミニシリーズ/テレビ映画部門助演男優賞にノミネートされたが受賞はならなかった。しかし2019年、映画『老大人』で年老いた父親を演じた小戽斗さんは、第21回台北フィルムアワード(台北電影奨)の主演男優賞に輝き、ついにその夢をかなえた。70歳を過ぎた小戽斗さんは近年体調を崩すことも多かったが、主演男優賞を受けたときには、「小さいころからこれまでどんな役柄も演じてきた。自分の人生はとても豊かなものだった」と述べていた。