2024/05/04

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ビンロウからコーヒーに植え替え、10年で品評会トップに

2020/02/20
実家の所有する傾斜地にビンロウが植えられていることで土壌が緩み、災害が起きると考えた青年農家の林菁川さん(写真)は作物をコーヒーに変更、今では様々な賞を獲得するまでに。(中央社)
青年農家の林菁川さんが山を守ろうと植えたコーヒーの木から素晴らしいコーヒーが生まれている。林菁川さんは兵役に服していた2009年、台風モーラコットによる水害現場で救助任務に当たった。屏東県(台湾南部)林辺郷や高雄市(同南部)甲仙区の小林村などで活動した林さんは、これらの場所ではビンロウやショウガなどが植えられて土壌が緩んでいたため土石流が起き、深刻な被害につながったことを知り、環境保護の大切さを深く感じるようになった。
 
兵役を終えた林さんが花蓮県(台湾東部)玉里鎮東豊里の実家に戻ると、家の所有地である5ヘクタールの傾斜地にはやはりビンロウが植えられていた。このため林さんは父親と話し合い、茶とコーヒーの木に植え替えることに決めた。
 
林さんはまず、フランス国籍の神父、故・潘世光(Maurice Poinsot)さんからコーヒーの木数本を入手、買い付けた数本の茶と一緒に植えてみた。その結果、茶の苗木はキョン(シカの一種)などの動物に食べられてしまった一方でコーヒーの苗木が生き残ったことから、林さんの父親はコーヒーを大量に植えるため苗作りに乗り出し、2011年には300株を試験的に植樹。今では2ヘクタールにコーヒー3,200株が植えられ、別の2.5ヘクタールでもコーヒーへの植え替えが始まっている。
 
栽培しているのは主にアラビカ、ティピカなどの品種で2015年には「古林」というブランドを立ち上げて販売を開始した。林さんは、長年あきらめずに努力してきたのは誰にも真似のできない、よりユニークな風味のコーヒーを作りだしたいからだと話す。同時に生態系と農業の共存という理念を広めることにも力を入れている。生態系を守り、生態系と共存し、生態系とバランスの良い生物連鎖の管理方式で自然との融合・共存を図るのだという。林さんは、持続可能な土壌や生命力の発展を目標としており、それに向けて努力することで自らが疲れることなどないと話している。
 
林菁川さんの栽培したコーヒーは2016年、台湾有機コーヒーコンテストで3等賞を獲得、2019年に花蓮県が行ったコーヒーの品評会「洄瀾好咖・啡您莫属」では特等賞を受賞した。また、「慈心有機認定」を受けて「緑色保育標章」(グリーン保護マーク)も取得、さらには台湾CAS有機農産物になっている。
 
「古林コーヒー」は標高500メートルの海岸と山脈の間で栽培されている。山地では昼夜の温度差が摂氏10度以上となるほか、空気中の水分が多く霧が立ち込める。ここで採れるコーヒー豆は高品質。コーヒーの実は全てふっくらと大きく、コーヒーになると甘く芳醇な口当たりとなる。このためエスプレッソ、ドリップ、浸漬式のいずれの方式でもコーヒーの美味しさを味わうことが出来、本物の「台湾コーヒー」と呼べるものなのだという。
 
 

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