2024/05/03

Taiwan Today

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台湾のバイオテクノロジー産業が団結、新型コロナの検査薬・ワクチン開発が焦点に

2020/02/21
国家衛生研究院、生物技術開発中心、国光生物、高端疫苗、亜諾法、台康、台湾圓點などが新型ウイルスに対抗するために団結、検査薬とワクチン、治療薬の3方向で開発に取り組んでいる。写真は台湾の最高学術研究機関・中央研究院で「レムデシビル」の合成に成功したチーム。(中央社)
新型コロナウイルスによる肺炎の脅威に対して各国が防疫体制を強化する中、ウイルスに対抗するためのワクチン開発などで各国が競っている。マスクや防護服、赤外線体温計、ハンドクリーナー、ゴーグルなどの基本的な防疫アイテム以外に、検査試薬や治療薬、ワクチンの開発こそがウイルスの感染拡大に対抗するためのカギとなる。
 
台湾で医薬品を創るバイオテクノロジー産業の国家衛生研究院、財団法人生物技術開発中心(センター)などの研究機関と、国光生物科技、高端疫苗生物製剤、亜諾法生技、台康生技、台湾圓點奈米技術などの企業は今回の新型コロナウイルスによる肺炎が伝わると直ちにこれに対抗するため台湾の代表チームとも呼ぶべき体制を整え、検査試薬、ワクチン、治療薬の3つの方向で開発に取り組んでいる。
 
国家衛生研究院は同時に様々な治療薬とワクチンを研究開発しており、新型コロナウイルスによる肺炎に効果的な薬物の早期発見を目指している。200種以上の薬物を選出して動物実験を行うほか、新型肺炎の治療が期待できる開発中の抗ウイルス薬「レムデシビル」についても積極的に原料を集めて合成を進めている。20日にはミリグラム単位での合成に成功、純度も97%に達したことが明らかになった。2週間以内にグラム単位での合成が出来る見通しで、台湾での生産も視野に入った。将来の備蓄も可能になる。なお、「レムデシビル」の合成には台湾の最高学術研究機関である中央研究院も20日に成功しており、純度は同じく97%だという。
 
生物技術開発中心は簡易検査試薬と治療の2つの面に切り込んでいる。同中心は膨大な抗体遺伝子データを持っているほか、ウイルス検査や治療ワクチン及び抗体薬物の開発でも多くの経験を蓄積。すでに感染を迅速に診断できる簡易検査試薬と治療薬の研究開発をスタートさせた。
 
高端疫苗生物製剤は検査試薬とワクチンの開発を進めている。12日には新型コロナウイルスを対象にしたRT-PCR検査キットを開発したと発表、衛生福利部(日本の厚労省に類似)食品薬物管理署(TFDA)に許可申請も行った。17日にはまた、米国の国立衛生研究所(NIH)とワクチンの共同開発に向けた契約を締結。NIHがライセンスを供与する提携相手としては世界で2社目だという。
 
国光生物科技でも特別研究開発チームを立ち上げ、遺伝子組み換えなどで効果的なデータを集めた上で、臨床試験などに合成開発技術を用いていく。順調ならば、必要な時間は約半年間だという。
 
亜諾法生技でも簡易検査薬、治療性抗体、ワクチンの開発に取り組むと発表した。また、治療性のモノクローナル抗体の開発ではすでに重要な進展があったとしている。むこう数カ月のうちに動物を使って効果を確かめる試験と安全性の研究を行うことにしている。
 
台湾生物産業協会の李鍾熙理事長によると、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)を経験したことで台湾のワクチン開発力は世界でも高いレベルにあり、開発能力があるばかりか競争力も強い。ワクチンの開発はビジネスとしてみた場合、時間的に間に合わない場合も多く、商機は大きくない。SARSのときのように、ワクチンが出来ないうちにウイルスが消えてしまうことさえある。しかし一部の専門家が言うように、新型コロナウイルスが「インフルエンザ化」するとしたらワクチンは大変重要になる。
 
李理事長は、中国大陸で感染状況が深刻なことは台湾にとって大きな脅威だと指摘する。しかし、SARSの経験から国際的な大手薬品メーカーがワクチンの開発に消極的な中、台湾が政府の力でワクチン開発に取り組んだ場合、世界に先駆けて開発に成功する可能性もある。李理事長は、そうなれば自分たちの問題を自分たちで解決できるほか、世界に協力することも可能になり、バイオテクノロジーの世界での台湾の国際的な地位はさらに高まるだろうと述べている。
 

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