2024/05/04

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行政院文化賞に打楽器奏者の朱宗慶さんと人形師の陳錫煌さん

2020/02/24
文化部は22日、今年の行政院文化賞を、打楽器奏者の朱宗慶さん(右)と伝統人形劇、布袋戯(ボテヒ)人形師の陳錫煌さん(左)に授与すると発表した。(中央社)
文化部(日本の文部科学省に類似)は22日、今年の行政院文化賞を、打楽器奏者の朱宗慶さんと伝統人形劇、布袋戯(ボテヒ)人形師の陳錫煌さんに授与すると発表した。芸術に貢献した人に贈られるこの賞は今年で39回目。
 
打楽器奏者の朱宗慶さんは1954年に台湾中部、台中市大雅区に生まれ、1982年にオーストリアのウイーン国立音楽大学打楽器専攻科を卒業した。同専攻卒業者としては華人初。台湾に帰国後は打楽器オーケストラの朱宗慶打撃楽団を結成し、世界33カ国・地域で3,000回以上公演、台湾のパーカッションの実力を世界に発信している。
 
朱さんは国立台北芸術大学音楽学科で教授や学科主任を歴任、学科内に打楽器専攻を設けた。また同大学の学長を7年間務め、人材育成に取り組んだ。さらに、国立中正文化センター主任兼交響楽団長として、同センターの行政法人化を推進、台湾初の行政法人の誕生に尽力した。また同センターの初代芸術監督も務めている。
 
1993年には「TIPC台湾国際打楽器大会」を発起し、これまで世界31カ国、149組の団体および演奏家を招き、台湾と世界をパーカッションでつないだ。国内では金曲奨(ゴールデン・メロディー・アワード)や、国家文芸奨を受賞。国際打楽器芸術協会(PAS)からは、優秀貢献賞(Outstanding PAS Supporter Award)と教育終生功労賞(Lifetime Achievement in Education Award)などを授与され、華人で初めてPASの殿堂入りを果たした。さらに総統からは二等景星勳章を叙勲、国立台北芸術大学の名誉博士号も贈られている。
 
人形師の陳錫煌さんは1931年に台湾北部、台北市大龍峒に生まれた。父は布袋戯の劇団、亦宛然の座長であり、巨匠と呼ばれた李天祿さん。13歳のとき人形師の道に進み、父から学んだだけでなく、「新興閣」、「小西園」、「五洲園」、「玉泉閣」など台湾各地の人気布袋戯劇団で技を磨いた。1953年には自身で「新宛然掌中劇団」を旗揚げ、嘉礼戯と呼ばれる伝統的な操り人形の「官、行、跪、坐、跌、摔、顛(歩く、跪く、転ぶなどの基本動作)」という糸を操る技巧も身につけた。
 
2001年からは台原偶戯団との共演を始め、「馬可波羅(マルコポーロ)」、「大稲埕的老鼠娶新娘(大稲埕版・ネズミの嫁取り)」といった作品を世に送り出してきた。異分野とのコラボレーションにも果敢に取り組み、他分野のアーティストと素晴らしいパフォーマンスを披露してきただけでなく、布袋戯という伝統芸術の普及にも積極的に取り組んでいる。
 
陳さんはすたれゆく伝統布袋戯の伝承のためにも奔走する。2008年には、「陳錫煌伝統掌中劇団」を結成し、テレビで普及した布袋戯とは一味違う、人形師の指一本で細やかな動きを表現する古典的な布袋戯の素晴らしさを伝えている。2009年には「重要伝統芸術布袋戯類保存者」、2011年には「古典布袋戯偶衣飾盔帽道具製作技術保存者(布袋戯の人形衣装・小道具製作技術を保存)」に指定、2012年には第2回国家文化資産保存奨(保存伝承類)を受賞し、現在文化部が重要伝統舞台芸術・重要文化資産保存技術保存者と認定する唯一の芸術家であり人間国宝である。

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