2024/05/09

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医療人員の中国・香港・マカオへの渡航を禁止、その他へは許可制に

2020/02/24
台湾の医療人員が中国大陸・香港・マカオに渡航することが禁止される。それ以外の一部の国への渡航も事前報告と許可が必要。医療人員不足や院内感染を防ぐため。(中央社)
台湾の医療人員が中国大陸・香港・マカオに渡航することが禁止される。それ以外の一部の国への渡航も、事前報告と許可を得ることが求められるようになる。医師法によれば、自然災害や政治・軍事面での重大な変化が起きた場合、あるいは法定伝染病の予防上必要な場合、医師は主務機関の指揮に従う義務がある。また、医療法でも重大な災害の発生時、医療機関は主務機関の指揮に従い、人員の派遣や医療サービスの提供、公衆衛生上の協力などをせねばならず、その回避や妨害、拒否は許されないと定めている。
 
中央感染状況指揮センターの指揮官を兼務する、衛生福利部(日本の厚労省に類似)の陳時中部長(大臣)は23日正午の記者会見で、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に拡大する中、医療面でのマンパワーを考慮し、医療人員が事前報告とそれに対する許可無く出国(境)することを禁じる考えを明らかにした。
 
衛生福利部医事司(局)の石崇良司長(局長)によると、この政策の実施に関する詳細は25日に各レベルの病院及び病院長を集めて討議し、決定後、実施に移すことにしており、決定した日から実施するわけではない。
 
石崇良司長によれば、防疫の取り組みにおける現段階の重点はまず、感染拡大を制御して医療面での需要が爆発的に増えることを避けること。そして第2に医療人員の消耗を抑えること。医療人員の補充は難しいため、医療人員が感染者と接触し、在宅で隔離されることになったり、渡航歴の関係で「在宅検疫」することになったりするケースを減らさなければならない。「在宅検疫」は、一定期間、住宅やホテルから出られず、守らなかった場合は強制的に隔離される措置。
 
中央感染状況指揮センターによる現時点での規定では、3つのケースにあてはまる人に健康管理を課している。すなわち①感染が確認された人と接触した人は在宅隔離、②中国大陸・香港・マカオへの渡航歴がある人は「在宅検疫」、③感染症危険情報が引き上げられた国(日本・韓国・シンガポール・タイ)への渡航歴がある人は出来る限り外出しないことや外出時の医療マスク着用、朝晩の体温チェックなどが求められる「自主健康管理」を行うことになる。
 
石司長は、医療人員がこうしたケースで勤務できなくなった場合、マンパワーが損なわれて人員の確保が難しくなるほか、病室閉鎖といったリスクさえあると強調、医療人員が出国(境)するのに報告と許可を義務付けるのは主に人員の配置と院内感染防止を考慮した上での「一定の」出国(境)制限だと説明した。
 
基本的なガイドラインでは、出国(境)が制限される医療人員は「医院」(=病院)の第一線で実際に患者を診察・治療するスタッフを主とし、各「医院」でスタッフをやりくりする能力に合わせて調整する。「診所」(末端の診療所)のスタッフは制限の対象としない。台湾では医療機関を、「医学中心」(医学センター)、「区域医院」、「地区医院」、「診所」の4つのレベルに分類している。
 
制限される渡航先については、中国大陸・香港・マカオはリスクがかなり高く、万一感染した場合は感染経路などの調査も必要になるとして「厳格に禁止」。その他、感染症危険情報が引き上げられた日本、韓国などには「可能な限り渡航を控える」。公務による訪問や医学総会への参加など、どうしても行かなければならない場合は事前に報告し、許可が得られたならば出国(境)可能で、決して完全に禁止するわけではない。
 
石崇良司長によると、医療人員の出国(境)を認めるかどうかは、各「医院」によるスタッフのやりくりを尊重し、「院長」が許可不許可を決める権限を持つ。マンパワーの面で問題が無ければ認めてもかまわない。中央感染状況指揮センターはあくまでガイドラインを決めるだけで、人員のやりくりが出来なくなったり、それにより医療サービスの縮小が余儀なくされたりするような事態を避けるため、各医療機関がそれぞれの能力に合わせて関連の規定を定めてほしいとしている。
 
 

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