2024/05/06

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政治

新型コロナによる授業欠席、台湾で複数の大学が遠隔授業提供

2020/03/04
新型コロナウイルスの影響から台湾に留学する学生が冬休み明けまでに台湾に戻れないケースが多発している。そこで大学は、オンライン配信など遠隔授業を展開し、学生たちの教育の権利を保障している。(中央大学提供、中央社)
世界各地で新型コロナウイルス感染症に対する懸念の高まりを受けて、中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語の正式名称は中央流行疫情指揮中心)は2月半ば、中国大陸、香港、マカオからの暫定的な入国禁止措置をとることを発表した。また韓国からの入国者に対しては、14日間の「居家(在宅)検疫」措置がとられている。このような状況で、海外から台湾に留学している多くの学生は、学業への支障が生じている。
 
国立台湾大学(台湾北部・台北市)の孫效智主任秘書は、「台湾大学にはかつてから『不中断、不停課(中断せず、休講せず)』という伝統が重んじられてきた。今学期、台湾大学では978人の中国、香港、マカオの留学生が学んでおり、そのうち459人が既に台湾に戻っており、残りの519人がまだ戻れない状況だ。これらの学生一人当たり、平均7~8科目を受講しているとして計算したところ、すぐにでも3,000科目以上をオンラインで配信する必要がある」と説明した。
 
国立台湾大学、国立師範大学(同台北市)、国立台湾科技大学(同台北市)によって構築された「台大系統(台湾大学システム)」では現在、デジタル教材プラットフォーム「NTUCOOL」において、659科目のリアルタイムもしくは録画配信を提供しており、1万3,450人の学生の受講が可能となる。国立台湾大学の施設内の5校舎にある123教室では、同時に授業を録画することができるという。さらに、今後更なる状況の悪化から全校休講という最悪の事態が生じた場合に備え、引き続き遠隔授業システムの拡充が進められている。
 
一方、多くの私立校では、複数校で連携し、デジタル教育の規模を拡大することで、教員や教育コンテンツの不足の解消に努めている。例えば、実践大学(同台北市、台湾南部・高雄市など)、東呉大学(同台北市)、淡江大学(同新北市)、世新大学(同台北市)ら私立大学12校で構成された「優久大学聯盟(U12 コンソーシアム)」は、台湾に戻れない中国大陸、香港、マカオからの留学生4,621人(12校の合計)に対し、「安心就学措置」を実施、大学4年生で卒業を迎える学生は予定通り卒業できるようにする。
 
また国立中央大学(同桃園市)では今学期、中国大陸の留学生108人(うち106人が台湾に戻れず)、香港・マカオの留学生95人(うち33人が台湾に戻れず)のほか、7人の韓国留学生が居家(在宅)検疫期間中だという。海外からの留学生や居家(在宅)検疫期間中の台湾の学生に対する教育の権利保障のため、同校では、各分野のリソースを統合し、学業が中断されないよう、休校という最悪の事態を想定し備えている。
 
国立中央大学教務処が推進する、「LMSシステム」と「ee-class」など手軽に学べる教育プラットフォームでは、オンライン学習システムを構築している。教師によるオンライン授業を通じて学生は、学習順序に従って、あるいは自身のニーズに合わせて必要な学習コンテンツを選択できる。そのほか、オンライン授業を展開する人材育成のための「オンライン授業の記録方法と技術」もリアルタイムあるいは録画配信で紹介している。

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