科技部（日本の文部科学省に類似）は近年、台湾の技術系スタートアップの国際競争力を高めるため、技術系スタートアップの支援拠点「TTA（Taiwan Tech Arena）」（台湾北部・台北市）を設置し、台湾のスタートアップエコシステムのリソース統合を図ると同時に、「台湾で最もクールな技術系スタートアップ10社（Taiwan’s top 10 coolest Tech Startups）」を毎年選出している。技術開発能力を持ち、その核心技術が産業のルールを変え、市場での実証に耐えうる、そして国際市場開拓の潜在力を持つスタートアップを探し出すことを目的としている。
科技部は今年、マイクロソフトが推進する創業者向けプログラム「微軟新創加速器（Microsoft for Startups）」、中華電信が推進する「中華電信5G加速器」、資誠聯合会計師事務所（PwC Taiwan）の「PwC’s Scale-up」、クアルコムの「QITC（Qualcomm Innovate in Taiwan Challenge）」、時代基金会の「Garage+」、数位時代など台湾のスタートアップエコシステムのパートナー20社と協力し、スタートアップ2,620社の中からまず521社を選出し、一次から三次までの選考を行い、最終的に「台湾で最もクールな技術系スタートアップ10社」を選出した。そのうち、AI(人工知能)を活用したスアートアップは50％、バイオ医療が30％を占めた。内訳は以下のとおり。
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雲守護安控股份有限公司（Beseye Cloud Security Co., Ltd.）
画像認識で骨の姿勢とデータの対比を行う監視カメラを開発。高齢者の転倒を正確にモニタリングし、予防することができる。
愛因斯坦人工智慧股份有限公司（Deep01）
AIを使った脳卒中の診断システム。30秒で脳内の出血部位を検測できる。
亜大基因科技公司（Atgenomix）
マイクロソフトと遺伝子データベース「Co-cell」を確立。
光禾感知科技公司（OSENSE TECHNOLOGY CO., LTD.）
空間認識と測位技術を核心とし、AIの「全感知」技術を使って日本のスマートスタジアム市場に進出している。
洞見未来科技公司（RelaJet Tech）
次世代のスマート補聴器を開発。雑踏の中でもはっきりと人の声を聞き分ける技術が用いられている。
聿信医療器材公司（Heroic-Faith）
肺の音を測定することで、肺に異常がないかモニタリングする商品を開発。
豊康微流体晶片有限公司（IVD R.E.D.）
独自開発したマイクロ流体チップ技術は、急性腎障害の検査を10分以内に行うことができる。
昱星生物科技股份有限公司（LumiSTAR Biotechnology）
光学検査技術を使ってがん細胞の薬物に対する反応を測定し、治療の精度を引き上げている。
聯斉科技（NextDrive）
グリーンエネルギーの分野で、今年の10社のうち最高額の資金を調達した。モジュール化されたプラットフォームを通じてエネルギーに関するデータと設備をクラウドシステムに統合することで、日本市場への進出を成功させている。
稜研科技股份有限公司（TMY Technology）
台湾では少数のミリ波（mmWave）と組み込みシステム技術の能力を同時に有するチーム。世界の基地局に競争力のあるモジュール製品を提供している。
★★★★
新型コロナウイルスが世界各地でまん延する中、今年の「台湾で最もクールな技術系スタートアップ10社（Taiwan’s top 10 coolest Tech Startups）」の製品技術の高い専門性、超域性、多様な応用性などが注目されている。例えば聿信医療器材公司の製品は、症状の軽い段階で診断を行うことができるため、医療行為における不要な接触を減らすことが可能となる。現在は台湾北部・新北市板橋区にある亜東紀念医院（＝病院）で治験が行われている。また、全世界でさまざまな集会活動が制限される中、光禾感知科技公司は早めに「全感知」技術の世界進出を進め、スポーツ観戦愛好家たちにオンライン・サービスによる新たな体験を提供することができる。このため、全世界で数千億米ドルと言われるスポーツ中継市場での商機を開拓するチャンスがある。