2024/05/07

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「国宝魚」のタイワンマス、野外個体数が初めて1万匹超える

2020/03/27
台湾固有の淡水魚で希少なことから「国宝魚」と称されるタイワンマス(写真)の保全策が奏功し、昨年は野外個体数が調査を始めて以来最多の1万532匹だったことがわかった。(雪覇国家公園管理処提供、中央社)
内政部(日本の省レベル)営建署雪覇国家公園管理処が25日、2019年度の「台湾桜花鉤吻鮭」(タイワンマス)野外個体数調査の結果、調査開始以来最多の1万532匹を確認したと発表した。タイワンマスは台湾の固有種。希少なため「国宝魚」と呼ばれる。今回確認された個体数の内訳は七家湾渓と高山渓流域で5,392匹、羅葉尾渓の1,126匹と有勝渓上流での121匹、楽山渓で136匹、合歓渓流域での3,757匹。合計で1万匹を上回ったのも初めて。
 
タイワンマスは1992年に雪覇国家公園管理処が設置された当時、個体数がわずか200匹あまりに減り絶滅に瀕した状態だったが、2000年に同管理処が保全策として「現在の生息地での保護と場所を移しての育成」戦略を打ち出し、30年以内にタイワンマスが元々生息していた大甲渓上流の5つの渓流で徐々に復活させるという目標を立てた。その後は保護の取り組みが功を奏し、現在のタイワンマスの分布流域を整理すると、七家湾渓のほかすでに3つの渓流にグループが定着、放流も必要なく自然繁殖によって安定したグループが形成されているという。
 
雪覇国家公園管理処ではまず4年かけてタイワンマスの完全養殖を実現。種を維持する技術を確立した。「本来の生息地での保護」の取り組みでは七家湾渓の河川復活運動を推進。具体的には本来の河を取り戻すための砂防堰堤5カ所の改善工事、耕地を林にするための私有地8.1ヘクタール徴収と植樹・造林などを行った。さらに武陵農場にはたらきかけて、耕地面積を5ヘクタール以下に縮小させた。
 
一方、「場所を移しての育成」では、過去タイワンマスが生息していた渓流に放流、付近にある少数民族タイヤル族の集落と提携してパトロール隊を結成した。パトロール隊は2000年からこれまでに環山、南山、松茂、翠華の4団体が発足してタイワンマスの保護に努めており、個体数は当初の数十倍に増えているという。
 
雪覇国家公園管理処は今後3年間の目標として、司界蘭渓と南湖渓のグループを復活させ、大甲渓上流の5大渓流でタイワンマスが見られるようにしたいと意気込んでいる。
 
 

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