2024/05/02

Taiwan Today

政治

財団法人国家衛生研究院、新型コロナの検査試薬のプロトタイプ開発

2020/04/09
財団法人国家衛生研究院と国防医学院予防医学研究所は8日、新型コロナウイルスの感染の有無をわずか15分で知ることができる検査試薬のプロトタイプを開発したと発表した。写真中央は国家衛生研究院の梁賡義院長。(中央社)
財団法人国家衛生研究院(National Health Research Institutes)と国防医学院予防医学研究所は8日、新型コロナウイルスの感染の有無をわずか15分で知ることができる検査試薬のプロトタイプを開発したと発表した。その実効感度はインフルエンザ検査試薬に劣らないという。
 
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、国家衛生研究院と国防医学院は17年前のSARS(重症急性呼吸器症候群)に関する研究の成果から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とSARSウイルスのエピトープが偶然一致していることを発見。SARSウイルスから得られた抗体を使い、新型コロナウイルスの感染有無を検査できると考えた。こうして1か月余り、研究と臨床検査を行った。8日に開催した商談説明会には、技術移転を希望する民間企業22社余りが参加した。
 
国家衛生研究院感染症與疫苗研究所の廖経綸所長によると、新型コロナウイルス用検査試薬の原理は、試薬の入ったキットで、抗体がウイルスを包むたんぱく質を捉えるというもの。その外観は妊娠検査薬とよく似ており、感染の疑いのある患者の上気道から取り出した検体を試験紙に乗せると、15分後に線が浮き上がる。1本なら陰性、2本なら陽性を意味する。
 
初歩的な検査によると、この検査試薬のプロトタイプを使えば、異なる実験室で分離培養した3種類の新型コロナウイルスを検測することができることが分かっている。その他のヒトコロナウイルスであるOC43、229E、NL63や、アデノウイルス、RSウイルス、A型インフルエンザウイルス(H1N1、H5N1、H7N9)など呼吸器官と関係するウイルス、それにエンテロウイルス71(EV71)に至るまで、どれも交叉反応を示さないことが確認されている。
 
この検査試薬は、現在実施されているPCR検査に取って代わるものではなく、相互補助の作用を持つ存在になる。医療関係者が患者の分散を行うのに役立つ。それは例えばデング熱の感染有無を判断する際、まず検査試薬で抗原の存在を確認し、その後に必要があればPCR検査を行うというのと似ている。
 
現在、試薬の実効感度は62.5ng/mLだ。つまり、1ミリリットルの検体に62.5ngのウイルスが存在すれば陽性反応が出る。国家衛生研究院はこの検査試薬の開発技術を民間企業に移転する考えで、業者側が必要書類をそろえ、衛生福利部食品薬物管理署(FDA)に対して審査を申し込めば、早ければ3か月後には量産開始となる見通し。
 
国家衛生研究院が検査試薬の開発に取り組んでいるという消息が伝えられた後、アジア諸国から技術移転についての問い合わせが相次いでいる。しかし、国家衛生研究院では台湾住民の権益を第一に考え、台湾企業への技術移転を優先するとしている。
 

ランキング

新着