2024/05/19

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台湾とデンマーク開発の血清検査デバイス、新型コロナの感染段階を12分で判定

2020/04/09
台湾がデンマークと協力し、新型コロナウイルスの血清検査デバイス(写真)を開発した。受検者の血液が1滴あれば、わずか12分後にはその感染段階が判定できるという。手前の扇形のプレートがマイクロ流体チップ「Viro Track」。後方は分析を行う装置「BlueBox」。(中央社)
台湾がデンマークと協力し、新型コロナウイルスの血清検査デバイスを開発した。科技部(日本の省レベル)は2011年にスタートさせた「研発成果萌芽計画(MOST Germination Program)」で、将来性ある研究成果の事業化を後押ししてきた。「研発成果萌芽計画」とは、今後発展が期待できる台湾の技術にターゲットを絞り、商業化が見込まれる、あるいは投資価値のある新ベンチャー事業に対してテクニカルマネージャーを配属するなどして事業化に協力するもの。同プロジェクトによる支援を受けた柏勝生技有限公司(BluSense Diagnostics)はこれまでデング熱やジカ熱など、蚊が媒介する感染症の検査技術の研究に注力してきており、今年はわずか3週間で新型コロナウイルスの血清検査デバイス開発に成功した。同社は8日、科技部が開いた記者会見でその成果を発表した。
 
科技部によれば、現在、新型コロナウイルスの検査は3つの方向に分けられる。主な方式は核酸増幅法検査(PCR検査)。次に台湾の最高学術研究機関である中央研究院による、簡易検査キットでウイルスのたんぱく質を検出する方式。柏勝生技が開発したのは3つ目の方式で、血清を検査して患者がどの感染段階にあるかを見極めるもの。検査を受けた患者を段階別に分類してその後の処置へと進めるのに役立つ。
 
柏勝生技は国際的な研究チームを有しており、生化学研究拠点はデンマークの首都コペンハーゲンにある。一方、ソフトとハードの開発センター及びデバイスの生産拠点は台湾北部の桃園市に位置する。このほど開発した血清検査デバイスでは、受検者の血液が1滴あればわずか12分後には数値での計測結果が出るという。
 
柏勝生技によれば、先週デンマークで2番目に大きい病院(Hvidovre hospital)で同技術の初期的な臨床試験を実施。その結果、15検体を計測して精度は90%に達した。来週にはイタリアの病院で200検体を対象に臨床での検証を行う予定で、5月に欧州連合(EU)の認証を取得し、6月にも台湾で販売を開始したい考えだという。
 
この検査ではIgM抗体とIgG抗体の数値を同時に計測することで患者の感染段階を判定する。IgMは感染初期(感染から約4日後)に現れる抗体で、感染が疑われる人に対する早期の検査として有効。またIgGは感染の中期から後期(感染後約10日後)に現れる抗体で、患者が回復期にあること、もしくは過去に感染したかどうかを判断することが出来る。
 
この検査は医療人員が感染経路の特定を大量に行ったり、無症状患者をみつけたり、海外渡航歴のある人を検査したりするのを助ける。また現在、感染が確認された患者が退院するにはPCR検査で3度陰性と判定されなければならないが、柏勝生技が開発した検査デバイスでIgM抗体とIgG抗体の変化を把握していれば、退院の可否を判断する際の重要な根拠となる。
 
柏勝生技は2014年に創設された。科技部による「研発成果萌芽計画」から生まれたスタートアップで、すでに台安生物科技股份有限公司と廣明光電股份有限公司からの出資を受けている。台湾の強力な情報技術産業と結び付くことでブルーレイドライブを基礎とした携帯型の医療検査装置「BlueBox」を開発、それをマイクロ流体チップ「ViroTrack」と組み合わせることで、空港や港湾など水際対策の第一線で運用するのに非常に適したものになったという。
 
 

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