2024/04/30

Taiwan Today

政治

WHO事務局長への人種差別は事実無根、台湾はエチオピアの医療人員育成にも協力

2020/04/10
WHOの事務局長が人種差別を受けたと台湾を非難したことに対し、外交部は事実無根だと反論すると共に謝罪を要求。台湾は同事務局長の祖国エチオピアへも多大な支援を行っている。写真左は三軍総医院で研修を受けるエチオピアの研修生たち。(三軍総医院のフェイスブックより)
世界保健機関(WHO)がスイス・ジュネーブで8日に行った記者会見の席上、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は台湾ならびに外交部(日本の外務省に相当)を強く非難した。テドロス事務局長は、台湾と外交部から3カ月を超える人身攻撃を受けていると説明、その被害はメディアによる評論からテドロス氏への様々な呼び名、そして黒人であることなどにわたり「もはや耐えられない」と訴えた。
 
これに対して中華民国外交部は9日午前に声明を出し、テドロス氏の批判は事実に基づいたものではないと反論すると共に台湾への謝罪を強く要求した。
 
WHOのテドロス事務局長は1965年に当時はエチオピアの領土だったアスマラ(現在はエリトリアの首都)に生まれ、エチオピアの保健大臣と外務大臣を歴任した。微生物学が専門。テドロス氏は今回、台湾から人種差別を受けたとしているが、実は台湾は長期にわたり、公式、非公式なルートを通じてテドロス氏の祖国であるエチオピアを支援している。支援の分野は医療と公衆衛生、栄養面と食糧、教育、児童と女性の権利、心と社会へのサポート、水資源、生活能力と収入の向上、緊急救援物資の提供など多岐にわたる。
 
政府の予算を元に活動する財団法人国際合作発展基金会(ICDF)によれば、同基金会が台湾で行う「国際人力資源培訓研習班計画」(国際マンパワー育成研修プロジェクト)では近年、エチオピアから3人の研修生を受け入れた。これら研修生はそれぞれ、2012年の「環境監測与天然災害管理」(環境モニタリングと自然災害管理)と「科学工業園区規画及管理」(サイエンスパークの計画と管理)、2017年の「潔浄能源発展策略」(クリーンエネルギー発展戦略)の研修クラスに参加した。
 
研修クラスへの参加を申請するには中華民国の在外公館もしくは国際組織による推薦を受ける必要がある。しかし台湾までの往復チケット、及び台湾滞在中の研修、食事、宿泊、交通などの費用は全額国際合作発展基金会が負担している。1人にかかる費用は15万台湾元(約53万円)で研修は2週間。
 
国際合作発展基金会ではまた、2018年の「友好国家医事人員訓練計画」(友好国医療人員訓練プロジェクト)にエチオピアから5人を受け入れた。研修地点は馬偕紀念医院(病院)の小児科(1人)と三軍総医院(病院)産婦人科(4人)で、費用は同基金会が1人分を負担。外交部が4人分を負担した。この5人の台湾における研修期間はそれぞれのカリキュラムに応じて1カ月から3カ月間で、経費は病院が負担した他、国家合作発展基金が受け持った研修生のケースでは、航空券、補助手当、保険料などで同基金会が7万台湾元(約25万日本円)近くを負担した。
 
また、同基金会以外にも、台湾児童及び家庭扶基金会や台湾北部・台北市にオフィスを設置している国際組織「国境なき医師団」、その他の慈善団体、宗教団体など複数のNGOが募金や里親活動、地元での調整などに努め、台湾の人々と企業の善意をエチオピアにおける具体的な成果に結び付けている。
 
さらにエチオピアからの交換留学生を救った例も。国立中興大学(台湾中部・台中市)に短期交換留学で就学していたMERRY HAILU GEBRETSADIKさんは先ごろ静脈血栓症で緊急手術を受けた。しかし、中華民国の健康保険に加わることが出来なかったため145万台湾元(約516万日本円)という高額な治療代を支払わなければならなかった。そこで国際同済会台湾総会(Kiwanis Taiwan)など複数の団体が協力、病院側も緊急救助金を使ったことで治療代を約93万台湾元(約331万日本円)に抑えることが出来たほか、2週間で51万台湾元(約181万日本円)の寄付を集めることにも成功、MERRYさんの窮地を救い、台湾の人々のエチオピアに対する友情を示した。
 
 

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