2024/05/02

Taiwan Today

政治

国家交響楽団が公共テレビなどと協力、4Kの高画質でコンサートを世界に生配信

2020/05/22
台湾における新型コロナウイルスの感染が下火となりつつある中、国家交響楽団と国家両庁院、公共テレビが協力し、インターネットを通じてコンサートを世界に向けて配信する。写真はリハーサルの様子。ソーシャル・ディスンタンスが保てる形で演奏。マスクを着用するメンバーも。(中央社)
台湾における新型コロナウイルスの感染が下火となりつつある中、国家交響楽団(NSO)と国家両庁院(ナショナルコンサートホールとナショナルシアターのこと)、さらに公視(PTS=公共テレビ)の三者が協力し、コンサートを世界に向けて生中継する。中継は公共テレビのインターネットチャンネル、ならびにインターネットで視聴者に映像を直接ストリーミング配信するサービスの「公視+」(公共テレビプラス)を通じて4Kの高画質で行われる。コンサートは3回開かれることになっており、初回は24日。
 
NSOは21日に開いた記者会見で、コンサートの全世界配信を発表。同楽団で音楽総監督を務める呂紹嘉氏は、今回の選曲は熟考を経たものであり、理想的なオーケストラ編成と多様かつ感動的な楽曲を用意したと説明、「音楽が人の心を癒す温かいパートナーとなるよう願っている」と語った。
 
このニュースが伝わると、海外で活動する音楽家からは羨望と感動の声が相次いだ。台湾出身で米国在住のバイオリニスト、黄俊文さんは、海外のオーケストラは公演が全くできない状態が続いているとして、NSOの楽団員全員が同じ1つのフレーム(画面)に揃うことが出来るとはあまりにもうらやましいと述べている。
 
呂紹嘉氏は、ステージでの生演奏こそかけがえのないものだが、感染防止が大前提である今、インターネットを通じた中継は音楽ファンとクラシック音楽を最も近い距離で結ぶ方法だと期待した。
 
公共テレビなどを運営する台湾公共廣播電視集団(TBS)の陳郁秀董事長(理事長)によれば、公共テレビが2017年に立ち上げた「公視+」は4K放送の設備をすでに配備しており、感染症騒ぎの中でちょうど役立てる機会を得たのだという。陳董事長は、「オンラインでのコンサートがNSOというブランドを世界に届けられれば」と話している。
 
これに対して国家両庁院の劉怡汝芸術総監督は、オンライン中継はパフォーマンスアートにとっての歴史を記すものだとした上で、「公共テレビが我々にそのマイルストーンを見えるようにしてくれた。またNSOも我々にクオリティの高い演奏を届けてくれる」と述べて双方に感謝した。
 
ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を保つため、ステージ上で楽団員は出来る限りマスクを着用する。それぞれが演奏する位置も間隔を空けなければならない。呂紹嘉監督はリハーサルの感想として、「距離が遠いため一番右の団員は一番左の団員の奏でる音がほぼ聴こえない。このため指揮をする自分はメンバー全員によく見えるよう動作を特に大きくしている」と述べた。
 
公演一回目のNSO「管絃織音」は台湾時間24日午後7時半から行われる。ドヴォルザークの「管楽セレナーデ」で幕を開け、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ ハ長調」、そして台湾の作曲家の故・蕭泰然氏が交響楽へと編曲した「望春風」へと続く。インターネットでのライブ配信のリンクはこちら
 
二回目の「嬉遊夏夜」は30日に開催。モーツァルトの「セレナード第10番 変ロ長調 グラン・パルティータ」とドヴォルザークの「弦楽セレナーデ」を演奏。そして三回目は6月12日、「完全貝多芬」と題して全曲ベートーヴェンの作品を演奏する。呂紹嘉氏は、「交響曲第5番 運命」と明るく軽快な「交響曲第7番」を選曲している。
 
 

ランキング

新着