2024/05/03

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文化部、パイワン族の旧筏湾集落を「聚落建築群」に指定

2020/05/27
屏東県瑪家郷に位置するパイワン族の「旧筏湾(Payuwan)集落」に残る石板屋12棟が、文化部(日本の文部科学省に類似)によって「聚落建築群(日本の重要伝統的建造物群保存地区に相当)」に指定された。写真は石板屋を上から見た様子。(伍麗華立法委員提供、中央社)
屏東県(台湾南部)は今月18日、交通部観光局茂林国家風景区管理処が管理するパイワン族の「旧筏湾(Payuwan)集落」に残る石板屋12棟が、文化部(日本の文部科学省に類似)によって「聚落建築群(日本の重要伝統的建造物群保存地区に相当)」に指定されたと発表した。
 
屏東県瑪家郷に位置する「旧筏湾(Payuwan)集落」は、標高800m余りの高地に位置し、石板屋と呼ばれるパイワン族の伝統家屋が、完全な形で12棟保存されている。「旧筏湾(Payuwan)集落」の住民は1974年、交通、教育、医療上の問題から、全住民が平地(現在の排湾村)に移住した。近年になって、旧筏湾(Payuwan)集落とパインワン族の歴史・文化との関連性が見直されるようになり、茂林国家風景区管理処が協力して集落に残る石板屋を再建する取り組みがなされるようになった。
 
屏東県によると、「旧筏湾(Payuwan)集落」はパイワン族にとって最も古い発祥の地の一つとされ、パイワン族の言葉で「kiniveacan(出生地の意味)」と称される。伝えられるところによると、太古の時代、太陽と月が天から降りてきてこの地に「日月卵」を産み落とした。孵化した「日月卵」から産まれた男女各1人が、のちにパイワン族の始祖となった。パイワン族発祥の地の周囲は、石で出来た神兵や神将が守っている。これらは平時、人間の姿をしているが、敵の襲来を受けたときはぴったりと身を寄せ合って堅固な石壁となり、集落に住む人々を守ったという。
 
また、この集落はQapulu家とMavaljiv家の始祖となった頭目2人の出身地でもある。現在も石板屋の崩れかけの外壁や、祖霊を祀る柱などがこの地に立っており、保存するだけの歴史的意義を十分に持つ。
 
集落内は主に家屋群で構成されているが、ほかに穀物を備蓄する穀倉、イモを焼く棚など家屋に附属する建築物、それに集会所、頭がい骨を置く場所などの構造物も含まれる。家屋は主に、切り出した石材を積み上げて作ったもの。パイワン族の人々は、石板の家屋は彼らが「kamawanan」と呼ぶヒャッポダ(百歩蛇)から着想を得たものだと考えている。つまり、屋根の石板はヘビの鱗片であり、室内空間はヘビのお腹、うねうねと並ぶ家屋群は前進するヒャッポダというわけだ。そのイメージは集落全体がヒャッポダの保護を受けているというもので、パイワン族の文化が十分に反映された、特殊な歴史文化意義を持つと言うことができる。
 
屏東県瑪家郷公所(=役所、役場)は、今後も石板屋の修復を続けるとしている。瑪家郷では、すでに現地ガイドの人材訓練を終え、パイワン族出身26名に合格証書とガイド識別証を授与している。瑪家郷の梁明輝郷長は今後、総量規制と完全予約制によるガイドサービスで、ガイド料を徴収の上、観光サービスを提供したいと述べている。
 
文化部の資料によると、現在台湾で「聚落建築群」の指定を受けているのは16か所あり、そのうち屏東県には萬巒郷五溝水、春日郷老七佳集落、瑪家郷の高燕集落と射鹿集落、瑪家郷の旧筏湾集落の4か所が集中している。
 

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