2024/04/30

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長庚大学など、新型コロナ感染を90-98%阻止する抗体発見

2020/05/29
私立長庚大学(台湾北部・桃園市)、長庚医院(=病院)、中央研究院の馬徹研究員、国防部予防医学研究所、オックスフォード大学によるチームは4月上旬、新型コロナウイルス感染者から25のヒトモノクローナル抗体を探し出すことに成功した。研究チームはこのほど、そのうちの1つに新型コロナウイルスの人体への侵入を90~98%阻止する効果があることを発見した。写真は左から長庚医院の検験医学部(=臨床検査部)の黄瓊瑰副主任、長庚大学新興病毒感染研究中心の施信如主任、児童感染科の黄冠頴副教授。(長庚医院提供、中央社)
新型コロナウイルスの封じ込めに一定の成果を上げている台湾では、新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチン開発が加速している。私立長庚大学(台湾北部・桃園市)、長庚医院(=病院)、中央研究院の馬徹研究員、国防部予防医学研究所、オックスフォード大学によるチームは4月上旬、新型コロナウイルス感染者から25のヒトモノクローナル抗体を探し出すことに成功した。これは、狙った標的に必ず当たる百発百中の「魔法の弾丸」のようなもので、新型コロナウイルス感染症の治療、検査キットの開発に役立てることができる。
 
長庚大学新興病毒感染研究中心(=新興ウイルス感染症研究センター)の施信如主任は28日、この長庚医院児童感染科の黄冠頴副教授が率いる研究チームが行った細胞実験の結果、そのうち1つのヒトモノクローナル抗体に新型コロナウイルスの人体への侵入を阻止する効果があることが分かったと発表した。ウイルス感染を阻止する能力は90~98%と高く、しかも「武漢株」、「米国株」、「欧州株」、「エジプト株」などと呼ばれる異なるタイプの新型コロナウイルスに対しても同じ中和作用を発揮することが分かった。また、免疫蛍光法(immunofluorescence assay、IFA)、中和反応(neutralization test、NT)、プラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization test)などさまざまな免疫方法により、抗体の働きに関する実験も行ったが、いずれも有効であることが実証された。つまり、抗体医薬品への応用が最も期待されるモノクローナル抗体と言うことができる。
 
新型コロナウイルス感染症に対応するため、各国の研究チームは不眠不休で研究を進め、短期間内に有効な治療薬を探し出すことを目指している。抗体医薬品は各国が競って研究を進める対象の一つであり、欧米諸国の研究チームなども相次いでいくつかの有効なモノクローナル抗体を探し出すのに成功している。長庚大学の研究チームは臨床方面で持つ優位性を武器に、台湾の抗体医薬品の研究・開発でややリードしている。
 
長庚大学のチームは6月にも製薬企業へのライセンス供与を行い、さらに試験を進めた上で抗体医薬品の量産に入る。順調なら年末には抗体医薬品の販売にこぎつけたい考え。
 
抗体医薬品は特異性が高く、特定のウイルスを認識して抑制あるいは消滅させるため、正常で健康な細胞にあまり影響を与えない。これは副作用の発生を抑えることができるほか、医薬品の研究・開発の時間を大幅に短縮することにもつながる。
 

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