2024/04/28

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遠洋イカ釣り漁船が帰港、水際対策で乗組員全員宿泊施設で14日間隔離

2020/06/01
高雄前鎮漁港に最初の遠洋イカ釣り漁船が帰港。新型コロナウイルスの水際対策のため、乗組員52名全員が埠頭での検疫後(写真)、専用の宿泊施設で14日間の隔離生活に入った。(中央社)
台湾南部・高雄市前鎮区にある前鎮漁港は台湾における遠洋漁業の中枢。遠洋漁業の水揚げは金額か重量かを問わず台湾一で、3月下旬から5月28日までにイカ漁以外の遠洋漁船37隻が帰港した。そして29日からはイカ漁の遠洋漁船80隻近くが相次いで帰港し、水揚げ(荷卸し)と整備、補給を行う。6月上旬の帰港のピークに備え、中央政府と地方自治体は共同で高度な水際対策を実施して新型コロナウイルスが侵入する抜け穴を徹底的に防ぐ。
 
今年最初に帰港した遠洋イカ釣り漁船は「佶洋号」。29日午前に入港した。「佶洋号」は昨年末に出航し、南西大西洋でイカ漁を行っていた。新型コロナウイルス(COVID-19)への水際対策に従い、高雄市海洋局と同衛生局は埠頭で船員一人ひとりを対象に検疫を実施、さらに感染防止のための大型バス2台で船員たちを一定期間隔離するための宿泊施設に移動させた。また、入港した漁船も乗組員全員を下船させた上で全面的に消毒した。
 
行政院農業委員会漁業署(日本の水産庁に相当)では、漁船の場合、海外での接触歴に確定できない部分があるほか外国籍の乗組員も大勢乗っていることから、港での検疫期間中はクラスターの発生要素を徹底的に排除する必要があるとしている。このため遠洋漁船が帰港した際には、高レベルの水際対策である個室での「在宅検疫」(隔離状態で外出が出来ないほか、健康状態の自主管理が求められる)とし、それが終わらなければ街での自由な行動は認めない。
 
同検疫措置が遠洋漁業の業者にもたらす負担を減らすため、漁業署は関連の対応措置をまとめている。内容は乗組員が検疫措置に従って個室での「在宅検疫」を行う場合、船主に対し、交通部観光局(日本の観光庁に相当)による補助金のほか、漁業署も1人1日あたり1,000台湾元(約3,550日本円)を補助するというもの。
 
また、「乗組員全員が下船せず、船内での健康管理を強制する」モデルも追加。入港から14日以内に再び出港する船の場合、乗組員が全て下船せず船内で健康管理を行うことを前提に漁船検疫エリアで水揚げし、整備と補給を行って出港することを認める。
 
「佶洋号」の乗組員は52名でそのうち47名が外国籍。52名は下船後、全員検疫用の宿泊施設に移動して14日間外出できない「在宅検疫」を行っている。乗組員に対しては着岸後、埠頭で各証明書類の確認と手や足の徹底的な消毒が行われ、その後衛生主務機関が体調などを聞き取り調査。入国手続き完了後、乗組員たちは宿泊施設に入った。
 
中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部)によると、これから6月末までと7月初旬に入国する遠洋漁船の乗組員は4,054名。「在宅検疫」用の部屋は現在2,800室で、ピーク時に必要となる1日2,500室を上回る。このため同センターでは、遠洋漁船の2段階に及ぶ帰港にも十分対応できるはずだと見ている。
 
 

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