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台湾とロシアの研究者が協力、世界最速の物体認識モデルを開発

2020/07/03
中央研究院資訊科学研究所の廖弘源「特聘研究員」と王建堯博士後研究員がロシアの開発者と共同で、現時点で世界最速かつ精度の最も高い物体認識モデル(YOLOv4)を開発した。(中央研究院提供、中央社)
台湾の最高学術研究機関・中央研究院はこのほど、同研究院資訊科学研究所の廖弘源「特聘研究員(Distinguished Research Fellow)」と王建堯博士後研究員(ポスドク)がロシアの開発者、Alexey Bochkovskiy氏と共同で、現時点で世界最速かつ精度の最も高い物体認識モデル(YOLOv4)を開発したと発表した。平均精度はひとつ前のバージョンと比べて10%高い43.5%に達しており、他の物体認識モデルを凌駕するものとなっている。
 
中央研究院によると、すでに義隆電子股份有限公司(ELAN Microelectronics Corp. )と提携して「智慧城市交通車流解決方案」(スマートシティの交通量ソリューション)にYOLOv4を応用、桃園と新竹(いずれも台湾北部)に設置して交差点での交通状態の映像認識と車の流れの分析を行っており、台湾におけるスマートシティの発展に向けた大きな一歩を記しているという。
 
王建堯博士後研究員は、物体認識技術で求められるのは速度と精度で、いずれか一方が欠けることは許されないがその両立は難しいと説明。王博士後研究員は昨年からひとつ前のバージョンであるYOLOv3の改良に取りかかり、それまでに多く採用していた「(ピッチャーが)球速を落としてコントロールの良さを求める」(実行速度を落とすか犠牲にして精度を上げる)ことをやめ、YOLOが運用するAIモデルから着手してネットワークを通じた物体認識のフィードバックの仕組みを改善。伝送ルートを最適化して物体認識モデルの計算量を減らすことで、演算内容の多様性を広げ、速度を上げることに成功した。
 
YOLOの開発者のAlexey Bochkovskiy氏が王博士後研究員の研究成果に興味を持ち、自ら王博士後研究員にコンタクトしたことで昨年11月より共同研究がスタート、その結果、今年4月には新バージョンとなるYOLOv4の完成を発表した。
 
YOLOv4はAIを使い、リアルタイムで物体検出(Object Detection)を行う技術。物体の認識、追跡、判断が出来、車の流れに関する計算や自動運転車両の開発、工場での不良品検出、医療での映像分析、顔認証などに応用が可能。4月にはソースコードを無償で公開しており、すでに全世界で数万人が応用を試みているという。
 
YOLOは「You only look once」の略称。その意味は、ネットワーク上の1つのモデルを学ぶだけで、コンピュータは1度見ただけで写真や映像の中の物体の種類や位置を判断できるようになり、その認識速度も大きく高められるというもの。2015年に初代のバージョンが出来たYOLOは今回YOLOv4に改良され、性能が大幅に強化された。マイクロソフトのデータセットMSCOCOを使ったテストでも物体認識の速度と精度はいずれも大きく向上しており、現時点で認識速度と精度が世界最高の物体認識モデルだという。
 
 

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