2024/04/30

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私立台北医学大学のTimothy Lane教授、中華民国国籍を取得

2020/07/06
内政部は6月29日、中華民国(台湾)への帰化申請審査を通過した高度外国人材8人のリストを発表した。そのうち一人が米国籍で私立台北医学大学人文暨社会科学院の院長を兼務する、同大学心智意識與脳科学研究所のTimothy Lane(中国語名は藍亭)教授だ。(中央社)

内政部は6月29日、中華民国(台湾)への帰化申請審査を通過した高度外国人材8人のリストを発表した。そのうち一人が米国籍で私立台北医学大学人文暨社会科学院の院長を兼務する、同大学心智意識與脳科学研究所のTimothy Lane(中国語名は藍亭)教授だ。2016年、台湾で初めて脳血管造影を使って植物状態の患者の臨床実験を行った。これは、植物状態の診断能力を強化することで植物状態と誤診される確率を減らすと共に、可能な治療方法を提示するのが狙い。

 

米プリンストン大学で心理学を教えるジュリアン・ジェインズ(Julian Jaynes)教授は1970年代、人の意識について執筆した著書を出版した。この書籍を読み、意識について興味を持つようになったTimothy Lane教授は、これを博士論文の研究テーマにすることを決めた。脳内の神経信号に関する分析を通し、ジュリアン・ジェインズ教授がこの著書で立てた仮設の真偽について実証しようと試みた。

 

この研究のために特殊な被験者を探さなくてはならなかったTimothy Lane教授は、友人の提案を受けて台湾にやってきた。台湾各地の廟宇で民間信仰の縁日などに参加して「乩童」と呼ばれるシャーマン(あるいは霊媒師)と知り合い、神が憑依するまでの落ち着いた状態に、彼らの脳内の神経信号の変化について理解したいと考えた。論文の執筆のために台湾にやってきたTimothy Lane教授は当時まだ20代で、これが台湾との縁の始まりだった。

 

しかし、台湾にやってきても「乩童」と出会うのは容易なことではなかった。かなりの時間をかけて情報を収集し、「乩童」がどこかで神を迎えると聞きつければ、どこまでもついていった。その後、若くて社交的な「乩童」たちと知り合うことができた。彼らは比較的協力的だった。

 

「乩童」との交流といえば、こんなエピソードがある。ある「乩童」が、特殊な方法を使って亡くなった父親と話をしてみないかとTimothy Lane教授に持ちかけてきた。Timothy Lane教授はその提案に少し好奇心を抱いたのだが、その後、「三太子(この「乩童」に憑依する神様)は台湾語しか話せないから父親との意思疎通は難しいだろう」と言われ、諦めたことがあったという。

 

さまざまな苦労を重ね、Timothy Lane教授はようやく研究と論文を完成させ、米国に戻り博士号の学位を取得した。この研究を行っている間、Timothy Lane教授はたびたび台湾に足を運び、長期滞在した。1990年代には再び台湾を訪れ、台湾の大学で教えるようになった。こうして拠点を台湾に移した。

 

Timothy Lane教授は、「台湾に長年滞在した結果、一つの国家がいかにして自身の力を頼りに、民主的で、言論の自由が保障された、人権を重視する国家になりえたかを観察する機会を得ることが出来た。これは自分にとって大きな収穫だった。このほど中華民国国籍を取得し、台湾の国民身分証を取得出来たことについて、感謝の気持ちを抱いている」と話している。

 

現在、台北医学大学で教壇に立つTimothy Lane教授は、大学のサポートもあり神経科学の研究に専念し、大脳與意識研究中心を設立した。Timothy Lane教授によると、過去の論文では、植物状態にある患者の40%が誤診されている可能性があると指摘されている。Timothy Lane教授はより良い診断方法を確立し、こうした患者を助けたいと考えている。また、より多くの若者が脳神経科学の研究に携わって欲しいとも考えている。科学研究を強化するだけでなく、患者を助け、ひいては神経科学を台湾が誇る特色の一つに育て、より多くの若者に学習と雇用の機会を与えたいと考えている。

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